晴れた一日今年も母校の「外語祭」に行ってみた。西武線・多磨駅の近くで、TUFSと型どった大きな彫刻が正門のシンボルになっている。Tokyo University of Foreign Studiesの頭文字だ。正面のFがピンク色なのは大学のスクールカラーだ。私が所属したボート部ではオールの色がピンクだった。外国語劇が連日上演されるホールで教え子のTUさんと待ち合わせした。
フランス語専攻4年生のTUさんは「UG会」の出身で、フランス・パリ郊外のリヴォー城で「旅行ガイド」のインターンを終えて見事「国家資格」を取得して今月帰国して大学生活に戻ったばかり。もう必須単位を取り終わって毎日「卒論」の執筆に頑張っている。二人で中央の円形広場を抜け、食べ物の模擬店がずらっと並ぶ並木道をのぞきながら、一番はずれまで歩くと大きな「テント小屋」が立っていて、中から賑やかなドラムの音と若者たちの歌声が聞こえてくる。
「ブラジル研究会」というサークルの発表で、サンバの軽快なリズムに合わせて80人もの大勢の部員が大音響の歌と踊りを見せている。観客も踊り出しているからどこからがステージなのかわからない。この春「UG会」出身で中国語専攻に入学したMIさんからこのサークルの発表会のチケットをもらったので楽しみにして来たのだがこの熱気にけおされて飛び出した・・・。
2年生のSEさんは前回「比較」の文法と整序問題が良く出来ていた。「劣等比較」と呼ばれる the least expensive(一番高価でない) や at least(少なくとも)など、little・less・least の変化を反対語のmuch・more・mostとの対比でしっかり覚えよう。今日は「最上級の意味を表す原級・比較級の構文」を勉強した。Peace is more essential than any other thing. 「平和は他の何よりも大切だ。」は接続詞のthan を軸に入れ替えると Nothing is more essential than peace. となる。プリントではany other thingと書いてあるけど、代名詞で anything elseと言う方がふつうだね。後者もNothingの後にelse を付け加えてもいい。
SEさんを送ってきたお母様とセンター前で出会ったら、「おかげさまで英検2級に合格しました。」とのこと。それは大変おめでたい。高2での2級合格はかなりの英語力がある証拠だ。3年生でもなかなか取れない級だから。特技のひとつとして誇れます。
2年生MIさんは前回、「否定」に関する英作文で、not A but B や not only A but also B のような「相関接続詞」の使い方が難しかったね。このAやBには名詞だけでも、動詞でも形容詞でも、文の要素の中で違う部分だけを代入すればいいのだ。「山梨大」の問題では what others want me to be(他の人が私にどうあって欲しいと思っているか)をAとし、what I want to be myself (私自身がどうありたいか) をBとすればいい。Not A but B is important. (AではなくてBが大切だ。)に代入すればできあがるよ。
MIさん、「私も母と外語祭に行って姉たちのブラジル・サンバを聞いてきました。先生と同じ火曜日に。」というから、午後行った私とはすれ違いだったらしい。おおぜいの留学生も溶け込んでインターナショナルな雰囲気に溢れた「外語祭」をのぞいてみて「私も・・」と意欲が湧いたかな?
三島教室のENさんが出席して今日は「仮定法・現在」を勉強した。「要求した」「提案した」「主張した」という内容の文には「動詞の原形」を用いることで、「そうであればなあ」という意味の「仮定の気分」を含意させようという用法だ。本家のイギリスでは進歩して「仮定法」なんてややこしいものを捨て、助動詞のshouldを加えることで明快な用法に変化しているけどね。アメリカ英語は古いねえ。He demanded that the price be lowered. 「その価格を下げるように要求した。」も、動詞のbeを イギリスではshould beと言い換えている。「下げた方がいいよ・・・」と。後半は「比較構文」に入った。
今日は3人に日本語の助詞「・・ね。」と「・・よ。」の話をした。和訳や英訳で「会話文」の時には使いたい。「ね」は相手に「同意」を求める一方、「よ」は相手に「主張」する働きだ。前者なら「付加疑問」とか Will you?で表現するし、後者なら you know を付け加える。あまり頻繁にyou knowを連発すると下品になるね。
今日一日御殿場の我が家あたりは雪が7センチも積もって、裾野に行く手段が心配になった。3年生OHさんは体調悪く、2年生KI君は期末テスト前でお休みした。今日も隣接の「生涯学習センター」をお借りしました。来週からは元の「文化センター」に戻ります。 尾上
(追記)外語大の中央広場では数10軒の「料理店」が円形の回廊の下に並んで、しきりに呼び込みをやっている。タイ語の学生による「タイ料理」の店でTUさんお薦めのカレーを食べたらとてもおいしい。マッサマン・カレーという名前でココナツの香りがする。テニス部の学生が呼び込みをやっている「たこ焼き」も面白そうで「炭酸せんべい」に挟んで食べてみた。
外語祭の目玉ともいえる伝統の外国語劇を一つ見たくてアゴラホールに戻ったら「アラビア語」の劇をやっていた。大きな明瞭な発音で演技も上手いし学生たちは堂々としたものだった。TUさんは獨協大学で2年まで終えて3年生から外語大に編入学したから、1・2年生が担当する模擬店や語劇の経験がない。それが残念です、と言っていた。
5日間の会期中、朝から晩まで30カ国の言語を専攻する2年目の学生たちがそれぞれ1年以上の勉強の成果を見せる1時間ほどのステージだ。上手と下手に縦長のスクリーンが立っていてそこに和訳で字幕スーパー(サブタイトル)が出ているから何語でもわかりやすい。これは50年前私の在学中に、故秋山先生という音声学教室の助手が考案したもので都内の劇場にも採用されているようだけど、実はこの外語祭が発祥の地だよ。(つづく)
