裾野市民文化センターにて
「名画フローラ」
トレッキング仲間のON君から風変わりな絵はがきが届いた。上野の東京都美術館で開催中の「ティツィアーノとヴェネツィア派展」に行ってきたよ、という便りだった。あの「フローラ」が人形に型どりされてピクチャーカードになっている。16世紀イタリアで「色彩の魔術師」と呼ばれた画家で私の大好きな画家だ、という話をON君は覚えていてくれたらしい。
イタリア・ルネサンス(文芸復興)は「宗教絵画」から開放され「人間絵画」に移行した時期でもあった。人間の描写には血が通い、その性格までが表現されるようになった。フィレンツェ派の有名なミケランジェロやレオナルド・ダビンチらに対して、ベネツィア派のティツィアーノは88年の生涯に500点もの作品を残したのだ・・・。
2年生MIさんは前回「前置詞」に関わる文法・作文をやった。語句整序問題は10問全て正解だった。「私たちの町はその湖の西にある。」は「その西の方に」の意味だから to the west of the lake と言う。in the west では湖の西部に入っていることになるよ。「〜の方角に」は in the direction of だけどね。今日は「倒置」を勉強した。特に Never や Little、Hardly のような否定語を文頭に出して強調すると、後続のSVがまるで疑問文のように「倒置」になることに要注意だ。Little did I dream that ・・・(・・・とは夢にも思わなかった。)とか Not a sound could we hear in the castle. (その城の中では物音一つ聞こえなかった。)のように。
SEさんは前回、文法・作文シリーズの最後の単元で「会話表現」の入試問題をやった。14問中マチガイはひとつだけで立派。今日は「省略」を勉強した。「学習院大」の英文で When left at home, he sits on the front doorstep, looking out for my return. では「私が家を出た時・・・」じゃなくて、主語は主文の主語と同じで省略されているわけだから When he is left〜の省略とみなして、「彼(犬)は家に取り残された時・・・」の意味になる。後半は「挿入」をやった。本来文頭で述べておくべき「副詞句」の in fact や however、for example を文中になってから動詞の前後に追加する方法。前後にカンマをつけるからずぐわかる。SVだけど I think や It seems、you know なども文中で付け足すことがある。一方 as it were (いわば〜)とか so to speak (いわゆる)は、すぐ次にでる「比喩表現」に付け加える語句で文頭にはおかない。
KI君も今日は「省略」を勉強した。Now I don’t eat so much as I did when young. は勿論 when I was young の略だとわかるね。じゃ、I did とは何?そう、I ate much (たくさん食べた)のかわりの代動詞の働きだ。 「若い頃たべたのと比べるとそれほどたくさんは食べてない。」となる。接続詞のas は「〜とくらべて」の意味だったね。
御殿場教室のMU君が,部活の関係でこちらに出席した。今日は「関係詞」で文法・作文問題に挑戦した。「彼女が話しかけた男の人は画家でした。」はいきなり解答を書こうとすると無理がでる。動詞「話しかけた」で1文、 She spoke to the man. 「〜でした」でも1文。The man was a painter. この2文を計算用紙に書いてから1文にまとめる、という操作が必要だ。The man who she spoke to was a painter. こういう「割り込み文」が高校生は苦手だね。後半は「名詞・代名詞」がテーマで、長文で「ある港の風景」を全訳した。
3年生TA君が今月は裾野教室に移動した。「仮定法」の文法・作文問題を無難にこなして、入試の英文和訳と英作文をやった。後半は前期に志願した大学の過去問を研究することになった。D大は3問の内、第1問は長文読解で、内容一致を4択で答える。第2問は、中くらいの長さの英文を読んでその要旨を200語くらいの日本語でまとめる。第3問は「自由作文」で、「海外留学したいですか?その理由は?」のようなテーマについて自由に英語で書け、というもの。どれも堅実な英語力を求めている良問だね。あまりやったことのなかった自由作文も、エッセイの書き方のコツを身につけて、今から3週間がんばれば書き慣れてくるよ。 尾上
(追記)「フローラ」と私が出会ったときの印象は、1976年の「ヨーロッパ一人旅」の日記の中で「フィレンツェ訪問」に書いてあった。「・・・ウフィツィ美術館で、今2時半過ぎ。ティツィアーノの部屋にいる。1576年に死んでいるから丁度没後400年になる。数ある中で『フローラ』がやはり最高だ。水色の壁の上に展示され、金の額縁に囲まれてフローラは花を右手に持って佇んでいる。肩から胸へかけての豊かさ、輝かしさ、清潔さ、みずみずしさは「美の極致」と言うべきか?『ヴィーナスとキューピッド』も美しいね。・・・」
駆け足旅行なのでその日の夕方にはフィレンツェを発って列車でベネツィアに向かったが、その車中でもひとこと記していた。「・・・ウフィツィ美術館はよかった。ティツィアーノの『フローラ』が一番印象的だった。ルーベンスのデッカイ絵には参った。ゴヤの婦人像は良かったけど。ボッティチェリの『ビーナスの誕生』や『春』がここにあったのだ。やはり名画といわれるだけの価値あり。」
「フローラ」はウフィッツィ美術館の宝だけど、今回の都美術館の展示カタログをインターネットで見ると、イタリア・ナポリの「カポディモンテ美術館」からの出品も数点ある。ローマのずっと南部にある小都市にこんな名画があるなんて知らなかったよ。名画は画家の郷里を離れて世界各地に分散しているらしい。今回の「サロメ」は上野「西洋美術館」の所蔵だった。ヨーロッパ旅行の後半に「ウイーン」を訪れた時には、「美術史美術館」に大量の「ティツィアーノを発見して驚いた。18世紀オーストリアの女帝マリア・テレジアが収集したものかな。
今回展示されている中で、ティツィアーノの「マグダラのマリア」や「ダナエ」はその「カポディモンテ美術館」の所蔵でぜひ本物を見てみたい。4月までの会期中に行ってこよう。
