御殿場市民会館にて
「公時神社から金時山頂」
「山のパンセ」の著者・串田先生は父親の影響もあって,中学の頃から大人たちに混じってたくさんの名だたる山に登ったという。私は高校2年の九州・修学旅行で初めて高い山に登った。鹿児島県の「霧島山」の最高峰「韓国岳」だ。高校時代のアルバムを開くと、親に買ってもらった「キャノン・一眼レフ」で撮ったたくさんのスナップの中に収まっていた。さらに手作りの「旅行のしおり」も挟んであった!
その旅程表を見ると3月16日の早朝、「霧島温泉」に宿泊した翌朝、希望者だけが暗い内に宿を出て1時間ほどの「大浪池」の湖畔まで登って、この火口湖を作った「韓国岳」とそれに連なる壮大な山並みの火口壁を展望した。山頂まで行く時間がなかったのは惜しまれる。宿に戻って朝食を済ませてから「霧島神宮」に参拝し、さらに宮崎県の都城と青島に向かう予定だったから。
ここが「天孫降臨の高千穂峰だ!」という説もある。朝靄が次第に晴れていって山稜が浮かび上がる光景に、幽玄の世界に迷い込んだような荘厳な印象を強く受けた。後になってこの感動が忘れがたく、「高千穂峰」と題する短い詩を作ったのを思い出す。串田先生は奇しくも私と同じ1961年の秋に、講演の仕事の合間に「霧島山」に登った、と「山のパンセ」に書いてある・・・。
1年生MU君は前回「比較」を使う英文にポイントを置いた長文「エビの乱獲」を和訳した。more and moreで「ますますたくさんの〜」、becomes less cleanは 「あまりきれいでなくなる」と訳せたね。これは more の反対だから「劣等比較」と呼ばれる。今日は「前置詞・接続詞」をやってみた。語句並べ替え問題はほとんど正解。力ついたねえ。「あなたはその計画に賛成ですか,それとも反対ですか?」は、 Are you for the plan or against it ? のように前置詞で表現できるよ。
大学生のYAさんは英検準一級の第3問をやった。かなり長めの英文ばかりで難問だったが合格点が取れた。「ロボット開発上の倫理的なルールづくり」も面白いし、「音楽は母親の子宮 womb にいる内から」もよく読めていた。「ドイツは最近天才が出ていない」は第二次世界大戦後のドイツの歴史を知っていればもう少し正解が出せたね。大学はもう春休みに入ってこれから二ヶ月、やりたいことが思い切りやれる時期だねえ。
YAさんとEN君は期末試験のためにお休みした。 尾上
(追記)私が東京外語時代、同級生にとびきりの美人HOさんがいた。卒業後は日本航空・モスクワ線のスチュワーデスに採用された。ロシア科はわずか40人のクラスで、私は入学早々この美人に「尾上さんでしょ?」と話しかけられて面食らった。東京中野区の小学校時代に1年間だけ同じクラスだったが彼女は5年生から武蔵野市に転校してしまって、忘れてはいなかったが8年ぶりの再会に驚いた。
私も小学校を出ると関西に引っ越して6年間も宝塚と西宮に住んでいて、東京から離れて男子ばかりの高校だったから女性が苦手だった。彼女も大学では私と同じオーケストラに入りフルートを吹いた。入部後同じ楽器の上級生HAさんから熱烈なラブコールを受けたらしいのだけど、彼は数ヶ月後突然自宅で自殺してしまった。生来脚が不自由で松葉杖で歩いていたせいもしれないが皆は失恋のせいだと憶測し悔やんだ。ご遺族からは追悼の意味で貴重な楽器を寄贈して頂いた。
外語大オーケストラの顧問をやって頂いて、ご自分でもハープやバロックフレーテを演奏なさった串田孫一先生の「生誕100年記念コンサート」が、一昨年地元の小金井市で実施されたので昔一緒にやった仲間たちにメールで知らせた。するとHOさんが返事をくれて、「私は大学受験では串田先生のいらっしゃる外語大が第一志望でした。」と書いてきた。
件の「山のパンセ」第一章は1961年、串田先生46才の時のエッセイで彼女も高校2年生のはず。ずばり「君があの時の少女じゃないの?」と、ほのめかしながら書いてみた。串田先生のお住まいの小金井はHOさんが引っ越した武蔵野市のすぐ隣り町だしね。本人からの返事はまだない。
