高校英語UG会 三島・裾野・御殿場


「比較構文」でasとthanは共に「〜とくらべて」
「比較構文」でasとthanは共に「〜とくらべて」
2023年10月8日(日)
市民サロン「けやきかん」にて
「森のガイドウォーク」
 昨日は富士吉田の「富士山科学研究所」で、今季3回目のガイドをやったよ。なんとか無事に終わってホッとした。来年も5月のゴールデンウイークから始まるので元気であればまたやってみたい。これは研究所付属の「自然観察園」の来訪者に富士山の成り立ち、自然界の推移、樹木や花鳥などについて所員に代わって解説する仕事だ。3年間の研修を卒業したボランティアが毎回3人一組で担当する。10時からの回に私が担当したのは東京都北区からお出での高齢ご夫婦。研究所のホームページをご覧になって富士五湖の旅行の合間に訪問された。植物がお好きで40分間、園内の溶岩の上の木道を歩きながらたくさんの質問をされ楽しく会話することができた。
 静岡側では300年前の「宝永山」噴火が有名だが、それは火山灰か砂礫(スコリア)を広範囲に降らした噴火だ。山梨側では1000年前、六合目の噴火で溶岩が流れてすべてを焼き尽くして、富士吉田市内を貫く長細い溶岩台地が出来上がった。それが「剣丸尾溶岩流」で、自動車道のスバルラインやこの研究所もその溶岩の地盤上に立っている。有名な「青木ヶ原樹海」はそれより少し前の噴火で形成された「鷹丸尾溶岩流」で、西湖と精進湖という2つの湖に分けられたのだ。現在3776mの高さのコニーデ型の美しい姿は、最古の「小御岳火山」の上に重なった「古富士火山」、さらに5千年前の噴火で形成された「新富士火山」になったとされている・・・

 今日は市民会館が貸し切りのため、御殿場駅前に新設の市民サロン「けやきかん」を初めてお借りした。2階の「生涯学習室」は大きな会議室で3人ではもったいない広さだった。隣の自習室はほとんど高校生で満員、30名ほどが設備の良いブースで静かに勉強していた。とても使いやすい教室だけど9時閉館なのが惜しい。
 3年生のMUさんは「関係詞の継続用法」をやった。Mary, with whom I drove home yesterday, has a Rolls Royce. 「メアリーは、昨日私が一緒に家まで乗せていったのだが、ロールスロイス(英国の高級車)を持っているんだよ」のように、先行詞と関係詞がカンマで区切られているから「〜は〜なのだが、・・・」のように「説明」として訳さないといけない。もし「乗せていったメアリー」と訳しても日本語では違和感ないけれど、英語では人名のような「固有名詞」を修飾することはできない。そういうカンマ付きの関係詞を「継続用法」とか「非制限用法」と呼ぶよ。「制限」とは「修飾」と同じ意味で、後から前を修飾せず、そのまま連続して和訳する場合なんだ。One reason is that gairaigo is almost completely limited to nouns, which are convenient for introducing new concepts. 「一つの理由は、外来語がほとんど完ぺきに名詞に限定されるからで、そういう名詞は新たな概念を紹介するのに便利なのだ。」で、whichはand theyのことだ。
 OK君は「前置詞+関係代名詞」を勉強した。There is nothing of which we are so wasteful as of time, and about which we ought to be more careful.の和訳が難しかったね。前半は前置詞のofがwhichの前にでているけど、There is nothing which we are wasteful of (我々が無駄にしているものはない)でもいい。それがno〜so〜as・・(・・ほど〜なものはない)の「比較構文」に組み込まれ、as we are wasteful of time(時間を無駄にしている)と省略を補えば理解できるね。asは「〜とくらべて」の接続詞で、前と同じSVを省略できるんだ。和訳は「時間ほど我々が無駄にしているものはない」となる。後半でもA and A’のルールに気を付けると、about whichと前のof whichが並列しているから共にnothingを修飾しているね。「そして時間以上に我々が気を付けなくてはいけないものはない」と訳すと正解。 more careful の後にthan we should be careful about time.と補うことができるかな? thanも「〜とくらべて」の接続詞なんだ。
 P.S.
 今日の英文「スーパーでの買い物の功罪」で、butcher's「肉屋」confectioner's「お菓子屋」に注目した。「'sの後に何か省略されてる?」そうか、At the barber's (shop)「床屋で」のようにbarberは床屋の主人、だから「〜の店」が必要なんだな。
 ちなみに皆なが大好きな「マック」の看板にもMcDonald'sと書いてあるね。「マクドナルドの店」の意味だ。McはMacと読み「ドナルドの息子」というのが語源だ。アッ!話題のトランプ前大統領もDonald Trumpだっけね。 尾上
2023/10/08 (Sun) 22:34


蟹工船のロシア語通訳
蟹工船のロシア語通訳
2023年10月5日(木) 
「牧野記念庭園へ」
山野草を求めて毎日のように箱根や富士山を歩きまわっている私には、NHKテレビの朝ドラ「らんまん」は先週の最終回まで毎朝楽しみだった。「バイカオウレン」は4月に西湖の近くで見つけたし「ジョウロウホトトギス」は我が家の庭に今咲いている。それで今日は久しぶりに東京に出かけて、植物学者「牧野富太郎」が晩年住んでいた練馬の住居跡に行ってみた。学生の頃よく使った西武池袋線にのって「大泉学園」で降りると歩いてほんの数分だった。練馬区立の「記念庭園」には大勢の人が訪れ記念館の前には長い行列。「らんまん」のおかげで来場者が10倍に増えて嬉しい悲鳴、とのこと。
 庭園の一角には牧野博士の胸像が笹の海の中に立っていた。これが寿衛夫人の内助の功に感謝して牧野が名付けた「スエコザサ」だな。正式なラテン語の学名にもなった。江戸時代長崎に住んだオランダの学者シーボルトが夫人の「お滝さん」にちなんで日本固有の花「あじさい」にオタクサの学名を与えたことも有名だ。やっと順番が回って入場した記念館には自筆の植物画がいくつも展示され、私の好きな「ホテイラン」はうっすらとピンクに彩色され、顕微鏡を使って細かく観察した様子がわかる。大きな口を開けておどけて見せる姿や「金時山」の大岩を登っている写真も面白かった・・・

今日は木曜日。「裾野教室」があれば授業の内容が書けるのですが、今年4月以来しばらく休止しているので、「言語学と私」について話してみましょう。今日はその2回目。
 大学3年生で初の海外、それも「シベリア」に貨物船で旅行できロシア語通訳としてアルバイト料もたくさん頂けた。それでこれから面接など公式の場で必要となる背広と念願のオーディオコンポを買うことができたよ。専攻のロシア語を生かしたアルバイトは数が多くはない。私と同じ夏休みにクラスメイトの一人小山君はある水産会社のロシア語通訳に採用された。北海道・根室港からカニ漁に行く漁船「蟹工船」に乗り日ソの国境侵犯などでトラブルになった時の通訳をやる仕事だ。大学を休んで半年近く漁船に乗っていたから心身ともに疲労がたまり体調を崩して、結果大学に復帰できずに早世してしまった。
 大学4年になると「古典ギリシャ語上級」を選択した。今は東大名誉教授の風間喜代三先生が土曜日だけ講師で来て私一人のために授業をしてくださった。初級の20名から上級では数名に減り、それも消えて私一人が残ったのだ。それでもギリシャ哲学者「プラトン」の「シュンポシオン」(饗宴)を原書で先生と読んだ感動は忘れられない。寝そべって酒を飲みかわしながらプラトンの弟子たちが「愛」について語り合う場面がある。「人間は元来男女が一体であったが、神の罰で2つに切られてしまいお互いに自分の半分(better half)を求めてさまようことになった。その証拠にそれぞれの背中はのっぺらぼうでしょう?」
2023/10/05 (Thu) 22:37


A and A’のルール 、攻略せよ
A and A’のルール 、攻略せよ
2023年10月1日(日)
御殿場市民会館にて
「金時山の若者たち」
 たまには裏山にも登らなきゃ、と久しぶりに「金時山」へ。正式な「公時神社」の登山口よりも、もっと高いところにある「矢倉沢峠」からの方が短時間で登れる。「金時見晴らしパーキング」が新しく整備されて認知度が高まってきた。「関東から来ました」と面白い返事をする元気な若い男女のグループと出発が同時になった。しきりに楽しげに語り合って、前後になりながらも私が写真を撮っていると「何の花ですか?」と聞いてくる。「これはホトトギス、その鳥の羽のまだら模様がこの花びらの斑点と似てるでしょう。このうす紫色の美しい花はマツムシソウ。コオロギの仲間の名前からつけたよ」。
 山の中腹に来てちょっと寄り道。茂みの中に白いウメバチソウがそろそろ咲いているかな?あったあった、3本だけ!白い梅の花びらを広げた小さな花が細長い軸の先端に一輪ずつ。つぼみをつけた花がまだ無数に伸び上がっているよ。さらに20分で山頂に躍り出た。ヒト、ヒト、ヒト、今日はなんとたくさんの登山者たち!アメリカ人の女性、フランスから来た二人。そして馴染みの地元のTAさん、いつも白い短パン姿で山頂に立っている。富士山のガイドに認定されてもう100回登ったとか。シーズンオフは金時山でガイドのアルバイト。「先生、あの大岩にイワシャジンが咲いたよ!」・・・

 3年生のMUさんは「重要構文」が最後の単元109まで終わったので、未修の単元「前置詞+関係代名詞」に戻った。All over the world wild animals are in trouble. Their numbers are decreasing at a fast rate and their habitats are disappearing as the human population grows and needs the land on which the animals live. 「世界中で、野生の動物たちは困っている。その数が急速に減少しているし、人間の人口が増えて動物の住んでいる土地を必要とするにつれて彼らの生息区域が消えつつあるのだから。」 MUさん、andを2つ△で囲ったね。前者は次の進行形の文と前の進行形の文を単純につないでいる。後者のandでは次の動詞needsと並ぶのは直前のgrowsしかないね。A and A’のルールが難しいかな。最後の文は〜the land (which) the animals live on. と言ってもいいね。
 OK君は「疑問詞の後の省略」を勉強した。中学でやったWhat about playing tennis?(テニスやろうか?)という「勧誘」の文はWhat do you think about〜?(〜はどう思う?)の省略形だ。How about〜でもいいけど、そちらはHow do you feel about〜?の省略形なんだ。thinkは他動詞、feelは自動詞の違い。What if Americans had no cars?はWhat would happen if〜の省略だね。過去形のhadはif文の中で「仮定法」の動詞だから「もし今持っていないとしたら」で、「どうなるだろう」も「仮定法」の動詞にしないといけない。次の文It is certain that they would have much trouble getting around.も「仮定法」のwould haveが使ってあるから「きっと、動き回るのにおおいに苦労するだろうが」と訳すといい。ぜひ「仮定法」の文法を復習しておいてほしい。「今」と「昔」の反実仮想として2通りを覚えればいいんだ。 尾上
2023/10/01 (Sun) 23:12


ロシア語通訳
ロシア語通訳
2023年9月28日(木) 
「鬼怒沼山へ」
 25日は夜明け前に東京を走り抜け「東北自動車道」を進んで、日光の手前で高速をおりて「鬼怒川」をさかのぼって行った。「鬼怒川温泉」のビル街を通り抜け「川治ダム湖」を右に見ながら進むと次第に深い渓谷になっていくよ。「川俣温泉」から少し先が「奥鬼怒温泉郷」で一般車は「女夫淵」の駐車場で行き止まり。四阿で遅い朝食を取っていると今夜宿泊する宿の送迎バスがやってきた。山向こうの尾瀬沼まで通じる「スーパー林道」の悪路をガタゴトと走って登山口に着いたらもう10時だ。ひなびた木造の山の宿「日光澤温泉」の裏庭から登っていこう。
 山地図で見て等高線が混んでいるところは急傾斜、やはり息が切れるが登山道は広くて登りやすい。大岩に咲くダイモンジソウやシラヤマギクに癒されながら4時間、標高差1200mを登り切ったら森がパッと開けて、目の前に「鬼怒沼」の大湿原、その向こうに「鬼怒沼山」のなだらかな尾根も池塘の水面に鏡のように写ってる。澄み切った青空と白い雲、ベンチで遅い弁当を食べながら「天空の庭園」を楽しむ。この南端からさらに北端まで進めばはるか下方に「尾瀬沼」が見えるらしい。しかし秋の日は「つるべ落とし」というから暗くならないうちに下山して今夜の宿「八丁の湯」に急ごう・・・

 今日は木曜日。「裾野教室」があれば授業の内容が書けるのですが、今年4月以来しばらく休止しているので、「言語学と私」についてお話してみましょう。今日はその1回目。
 私の母校「東京外国語大学」は当時は小さな単科大学で1学年が400人くらい。私が在籍したロシア科は男30女10人の1クラスだけだった。第1回目は佐藤勇主任教授の授業で、いきなりロシアの寓話を原書で読み始めた。「・・君、そこ読んでみて」には驚いた。まだアルファベットも教わっていないのにね。専攻のロシア語の授業は毎日あるから実に密度が濃い。2年目には会話も得意になって「ソ連大使館」を訪問したり、その年(1964)の「東京オリンピック」には選手村のロシア人のガイドをする仲間もいた。今では2つの学部に別れたけれど、当時の3年生は「言語文化コース」と「国際関係コース」を選択でき私は前者を選んだ。それが「言語学」を専攻するきっかけになったんだ。
 3年目には私もロシア語通訳のアルバイトをやったよ。大阪の「安宅産業」という貿易商社がロシア語のできる学生を募集したので応募して、8月の2週間初めての外国「ロシア」の大地を踏むことができた。富山県の「伏木港」から貨物船に乗りシベリアの原木を買取に行くのだった。4日間の船旅で日本海と間宮海峡を北上し、樺太の対岸「ラザレフ岬」に着いた。数日の積み込みが終わってからが私の仕事、木材買取の文書を取り交わす会議の通訳だった。なにも問題もなくあっさり終わってホッとした。ここは林業のほかに何もない寒村で、暇な日には港から離れた「船員クラブ」まで泥んこの道に敷いた木道を歩いて行ってロシア人の従業員と文化交流してきたよ。 尾上
2023/09/28 (Thu) 22:11


「セミコロン;」は前文の「説明」や「理由」
「セミコロン;」は前文の「説明」や「理由」
2023年9月24日(日)
御殿場市民会館にて
「セゾン現代美術館」
 先週、北軽井沢での高校同窓会は夕食のバイキングを味わい生ビールで乾杯しながら楽しい会話を楽しんだ。翌日は4人の友が早朝からゴルフコースに向かい、千葉の友人は歴史マニアでひとり真田一族の城めぐりに向かった。上田城・沼田城などを見てくるとのこと。私は夜明けとともに「小浅間山」に登って、噴火レベル2の「浅間山」の雄大な姿を仰いでからホテルに戻った。朝風呂に入り朝食をゆっくりとってから皆とお別れだ。帰り道に懐かしの「旧軽井沢」に向かって走り出すと、まてよ大渋滞だな平日なのに。じゃあ、中軽井沢の「セゾン美術館」にでも寄ってみようかな。
 「セゾン現代美術館」は東京池袋の「西武デパート」にあった「西武美術館」の所蔵品がその閉館と共にこの軽井沢に移されたそうだ。知らなかった!「千ヶ滝」の針葉樹の森の中にそれはあった。鉄の正門も敷地を流れる小川の鉄橋もすべてアートで、本館前の芝生の中に彫刻が点在している。あの真っ白な2つの門は見覚えがあるぞ!安田侃の大理石の彫刻だな。イタリア・フィレンツェにアトリエを持ち、私の家内が大ファンでイギリスまで追っかけて行ったよ。北海道の洞爺湖の彫刻公園にも一緒に見に行ったなあ。イサムノグチの大きな石の彫刻も小川のほとりにさりげなく置いてあるよ・・・

 3年生のMUさんは最後の重要構文で「省略」をやった。英文「自動車はアメリカの発明品か?」でWhat if Americans had no cars?「もし仮にアメリカ人に車がないとしたら、どうするだろう?」では「仮定法」の動詞hadに注意してほしかった。省略を補うとWhat would they do・・となるね。次の文にもIt is certain that they would have much trouble getting around.(きっと動き回るのにたいへんこまるだろう)とwouldが使ってある。さらにWhat’s more, hydrogen, on being burned, produces only water, which is harmless.は挿入部分はas soon as it is burnedを動名詞の句に変えたものだから、「さらに水素は、燃やすとすぐに水しかつくらないし、それは無害なのだ。」
 OK君は「接続詞の後の省略」を勉強した。・・・; someone, as if by magic, is always there for them, too, to return in kind. 「セミコロン」があるね。前文の「説明」や「理由」を述べるのだ、と前にやったね。和訳で無視していると日本語の感覚で「そして」や「だから」の意味に取られてしまうよ。「すなわち、まるで魔法の力のように、誰かさんも彼らのためにいつでもそこにいて、同じようにお返ししてくれるのだ」。as ifは「仮定法」の動詞と一緒に使われるんだったね、ここでは省略されているけど。to returnは「目的」ではなくて「そしてその結果」がいい。tooはふつう「〜も」と訳すね。英語ではalsoとおなじく副詞で全文を「さらに〜」と言ってる。日本語では「焦点」になる単語(名詞)に「も」をつけるしかないから、ここでは主語のsomeoneにつけておこう。 尾上
2023/09/24 (Sun) 22:38


名著 Syntactic Structures
名著 Syntactic Structures
2023年9月21日(木) 
「小浅間山」
「よくやるなあ」と言われそうだけどまた母校甲陽学院の同窓会で、今度は「軽井沢」のゴルフ場に集合がかかった。5月に「蓼科」、7月に「身延山」だったから2か月に一回のペースだね。傘寿になったというのに実に元気なゴルフ好きが幹事さんだから、快く夫婦で参加させてもらった。18日の朝、雄大な「八ヶ岳」連峰を左に見ながら清里・野辺山・松原湖を抜けて「佐久盆地」に下る。中山道を東に上って「中軽井沢」へ。北軽井沢の「峰の茶屋」まで急坂をぐんぐん上ると広大な「浅間牧場」に出る。この一角にある「プレジデントリゾートCC」のホテルが会場だ。5人の旧友と露天風呂に入り、ディナーのテーブルについたら突然の停電!さっきカミナリが鳴っていたなあ!
 ゴルフは昔少しかじっただけの私は翌朝ひとり登山へ。大学1年の時に3人のクラスメイトと登った「浅間山」のルートで丁度60年ぶりだ。まだ暗いうちに車で10分の登山口に着いた。さあ出発しよう。「東大火山観測所」の脇を通る一本の登山道は活火山「浅間山」山頂2568mに通じるが、今は「噴火レベル2」で5キロ圏外までしか登れない。途中で右に折れて火山灰のルートを登るとあっさり山頂に着いた、「小浅間山」1655mだ。浅間山の寄生火山で丸坊主の山頂からは佐久盆地から遠く「乗鞍岳」が展望できた。昇ったばかりの朝日で私の影ができ浅間山に向かって脚がやけに長く伸びて、まるで J.WebsterのDaddy Long Legs「あしながおじさん」だ・・・

 今日は木曜日。「裾野教室」があれば授業の内容が書けるのですが、今年4月以来しばらく休止しているので、「UG会」の名称の由縁であるアメリカの言語学者「ノーム・チョムスキー博士」についてのお話の3回目。
 言語学はサイエンスの一つなんだ。医学や物理学が「自然科学」、経済学や政治学が「社会科学」であるように、言語学は哲学や心理学と同じ「人文科学」に入る。大学の教養課程ではこの3分野の科学「サイエンス」を学ぶことになっている。高校の物理・生物や歴史・倫理のような基礎の上に発展していく学問だ。国語や外国語はもちろん「言語学」という科学理論に発展する。
 特に米国の名門「マサチューセッツ工科大学」(略称MIT)のチョムスキー博士が提唱した「生成文法理論」は、自然科学のプロセスである「仮説と証明」を踏まえてこの60年間に大きな進歩を遂げてきた。私が大学生の頃、すでにMITの教授だった15才年長のチョムスキー博士の初の著書Syntactic Structures1957、日本語訳「統辞構造論」(2014岩波文庫)が日本で紹介され、奇しくも私の大学時代とほぼ同時に始まり、私は高校の英語教師として歩みながら「理論言語学」の一つ「生成文法」つまり「UG理論」をずっと勉強してきたのです。 尾上
2023/09/21 (Thu) 22:05


物 cut easily (よく切れる)
物 cut easily (よく切れる)
2023年9月17日(日)
御殿場市民会館にて
「アケボノソウ」
 ススキが光り始めた広大な大野原を走って「須山登山道」に向かった。ここは国道469号線、小山町から十里木高原を越えて富士宮市に至る道で、12世紀源頼朝の「富士の巻狩り」で知られた「十里木街道」だ。「頼朝の井戸」には「関所跡」もまだ残っているよ。昔は第2東海道として価値があったのだろうね。「十里」は40キロ、どこからだろう?と調べてみたら、起点は「竹之下」つまり「足柄峠」の登り口、今の「JR足柄駅」だったよ。そこから板妻・須山を通って十里木までの上り5里と富士川までの下り5里を合わせて10里だったらしい。Google Mapで調べたら、足柄駅から富士川楽座まで十里木越えで歩くと48キロだった。(1里は約4キロ。ちなみに1マイル(哩)は1.6キロ。御殿場ー東京は80キロ、50マイル。覚えておこう!)
 裾野市の須山には2013年、「ユネスコ世界遺産」の文化遺産に認定された「富士山」を構成する「須山浅間神社」がある。樹齢数百年の高いスギの古木に囲まれて、最近建て替えられた白木の本殿が美しい。この集落にも登山案内や宿を提供する「御師」がいて、富士登山の世話をしたそうだ。巫女さんから「須山登山道」のガイドマップを頂いて出発しよう。十里木の「忠ちゃん牧場」からは「十里木別荘地」を抜けてスカイラインの「水が塚」に向かって有料の「エバーグリーンライン」が、須山登山道とほぼ並行している。遊園地「ぐりんぱ」の観覧車を右目に登っていくと人工スキー場の「イエテイ」に着いた。標高1400m「水が塚」の手前だ。
 ここに今日お目当ての「アケボノソウ」が咲いているはず。あったよ!腰ほどの背の高さで草原一面に何百本と!秋の花センブリの仲間で、5枚の白いはなびらに黄色い月と夜明けの星が点々とちりばめられて、なるほど「あけぼの」(曙)の空のイメージだね・・・

 3年生のMUさんは「省略」をやってどれも正しく解答できた。文法は1〜4回の復習で「動詞」の用法だった。I don’t know if it will rain tomorrow, but if it rains, I will go by train. は「あす雨が降るだろうか、わからない。だけど、もし降るとすれば、電車で行くだろう。」と訳せばいい。if節がwill rainかrainsか判別むずかしいね。「willは未来」、ではなくて、willは助動詞の「〜だろう」でmay「〜かもしれない」とほぼ同じ、断定できない時に使うから、「もし降ると決まれば」は現在形のif it rainsが正しい。空所埋め問題で「5分歩くか歩かないうちに我々はにわか雨にあった。」は、hardly〜whenの「時間構文」で、「にわか雨にあった時には、すでに5分歩いてしまったことはほぼなかった」という風に直訳できる英文に組み立てるのだ。We had hardly walked five minutes when we were caught in a shower.で「ほぼ同時だった」という意味。この準否定hardlyをはっきりnotに変えれば「5分歩かないうちに」となるから違いがわかるでしょ。
 OK君は「既出語の省略」をやってどれもうまく和訳できた。文法では「態」が難しかったね。This dress doesn’t wash well. (この服はうまく洗えない)は始めてかな?「人」ではなく「物」が主語となってcut easily (よく切れる)、sell well(よく売れる)、copy well(よく写る)のように副詞のwellを伴うと「受け身」の意味になるイディオムだ。さらに、「この混乱の責任はすべて彼女にある」は、「彼女が責められるべき人だ」と言い換えて、She is to blame for all this mess.が正しい。is toはいろいろな助動詞の働きで、ここではshould(〜すべき)と同じ。blame(責める)を受け身形にしないことに注意しよう。 尾上
2023/09/17 (Sun) 23:44


人類共通の文法を探る!
人類共通の文法を探る!
2023年9月14日(木) 
「ノーム・チョムスキー博士」
 今日は木曜日。「裾野教室」があれば授業の内容が書けるのですが、今年4月以来しばらく休止しているので、「UG会」の名称の由縁であるアメリカの言語学者「ノーム・チョムスキー博士」についてのお話をしようと思う。東京での講演会で2度お目にかかっているんだ。
題して「UGとは?」
 前回はチョムスキーの話を少し書きました。アメリカ政治の辛辣な批評家・活動家ですが、専門の言語学で「ノーベル文学賞」がもらえるならきっとこの人です。あるいは6部門のうち「生理学賞」でもいいかもしれない。人間言語を先天的な遺伝によるものという仮説を表明しているから、「大脳生理学」の研究者のだれかが証明できれば実に革命的で「ノーベル賞」となるはずなのです。人間の大脳には「語彙」の領域と「文法」の領域があって、相互に連絡して言語活動をやっているはず。「語彙」はそれぞれの国や民族・地域に固有で別々に長い歴史を持っているが、「文法」は「世界中ただ一つ」つまり「普遍的なもので人類の遺伝子に組み込まれているはずだ」、という仮説です。
 人間の大脳はコンピューターにたとえられる。特に「記憶」と「演算」が大事な領域だ。「ことばの学習」に関しては、「辞書」と「文法書」があれば世界中のだれでもが外国語の文章が読めるし書けるでしょ。それが大脳のどこにあるのか?最近発見した学者がじつは日本にいるよ!東大の「酒井邦嘉」教授がその人。最近の脳科学では様々なやり方による「脳機能マッピング」つまり「脳地図」の研究が進んで、大脳皮質のどこにどんな機能があるのかがだいぶわかってきた。著書「チョムスキーと言語脳科学」(集英社、2019)を読むと、イラストに描かれた「語彙」と「文法」の位置が隣り合わせになっているのがわかる。私は読んで先生の講座も聴いたよ。だれでもきっと驚くね。尾上
2023/09/14 (Thu) 23:13


「カンマカンマはカッコに入れる」のルール
「カンマカンマはカッコに入れる」のルール
2023年9月10日(日)
御殿場市民会館にて
「金時山のシラヒゲソウ」
 天気が良くない、が久しぶりに金時山に登った。忍野村の花友が「もう咲いてるよ」とLINEでシラヒゲソウの写真を送ってきたので確認してみようと傘さして。人気の山とあって山頂は大賑わいで欧米系の外人も多い。カタコトの日本語で「ケシキ、スバラシイ!」なんて叫んでる。しかし予想したように「富士山」の展望どころか目の前に広がるはずの箱根連山も白い霧の中にすっぽりと隠れて何も見えないよ。「元祖金時茶屋」が珍しく開いていて馴染みの主人の秀峰さんも元気だった。90才になっていよいよ山に登れなくなったあの看板娘「金時娘」妙子さんの息子さんだ。
 カップラーメンを注文して食べながら会話した。「息子が尾上先生の教室にお世話になる前、通っていた御殿場森の腰の’三島進学ゼミナール’が最近消えましたね」。「インターの近くにある佐鳴学院と提携してそこに移ったのかな。少子化でどこも経営が難しいんだろうね。」と私。小さな町に進学塾がにょきにょき生まれては消えてゆくなあ。まるでコンビニのようだね。山小屋も経営大変だ。朝夕の新聞配達もやって家計をやりくりする秀峰さん、頑張ってください。週末営業している時にまた来るね。さてと、店の外の大岩のくぼみにシラヒゲソウがひっそり咲いているはず、見てこなきゃ・・・・

 3年生のMUさんは英文「人間とことば」で和訳に苦労したがほぼうまくいった。And we find that even the most intelligent animals, because they cannot speak, cannot do things which to us seem absolutely elementary and which very small children, as soon as they learn to talk, would be able to accomplish. 長い文でカンマがたくさんあり複雑に絡み合っているけど「カンマカンマはカッコに入れる」のルールを知っていたし、andが次のwhich〜と前のwhich〜をつないで(A and A’のルール)ともに直前のthingsにかかる、と分かれば、「どんな知的な動物でも、われわれには全く初歩的に思われる物事で幼い子供でもしゃべれるようになればすぐに達成できるだろうような物事を、話せないがゆえに実行できないのだと思う。」
 OK君は「倒置構文」を勉強した。Happy is the person who meets the right friend at the right time.では主語the person〜が長すぎるのでCVSつまり第2文型SVCの倒置になっているね。このrightは「ぴったり、ふさわしい」と訳したい。「適材適所」のように、「大事な時にふさわしい友人に出会う人は幸せだ。」の意味。もうひとつ、The vices of others we keep before our eyes, our own behind our back.も難しかったね。これはkeepの目的語が文頭に移動しているからOSVで、第3文型SVOの倒置だ。カンマの働きはbefore〜とbehind〜が対比的に書いてあるからセミコロンの「一方で」の意味に考えるといい。省略語our own (vices)に気づけば間にwe keepの省略を読み取って、「他人の欠点は常に目の前に出しているのに、自分の欠点は背後に隠しておくのだ」。othersはother peopleの意味でsome〜; others〜(〜な人もいるし〜な人もいる)では人や物を2種類に分ける言い方なんだ。「代名詞」の文法項目でone、another、the other、some、othersを復習しておこう。 尾上
2023/09/10 (Sun) 23:08


チョムスキー生成文法
チョムスキー生成文法
2023年9月7日(木) 
「シュスラン」
 今年は富士山麓のあちこちで「ラン科」の「シュスラン属」で「ベニシュスラン」、「ツリシュスラン」を発見し、昨日は初めての「シュスラン」を見ることができた。一人の花友の情報をたよりに富士市の「丸火自然公園」に行った。富士山麓の森の中の広大なキャンプ場で「少年自然の家」がある。御殿場からは国道469を走ればわずか30分だ。あったよ!初対面だ!淡いピンク色をした小鳥のクチバシのような花が一本にたくさんついて可愛いなあ。葉の中央に白い葉脈が1本走り光沢があるのでシュスランの名がついたらしい。繻子(しゅす)織は光沢のあるビロードのような布のことだ。
 そして今日7日は「シュスラン属」で4種類目の「アケボノシュスラン」が見たくて、箱根芦ノ湖から「鞍掛山」に登り最短距離の「椿ライン」を下って湯河原に行った。「日金山」ハイキングコースを登山口から歩き始め30分ほどで目的の渓流に着いた。ここにアケボノシュスランが咲くことも数年前に別の花友の情報からだ。涼しいそよ風の吹く渓流の中の丸い岩の表面にびっしりと40〜50本も!こちらの葉はほの白い葉脈が3本はしり、同じく小鳥のクチバシのような白い花を1本に1〜2個咲かせていた。ほんのり赤みをさしているのでアケボノ(曙)の名が冠せられたのかな・・・

 今日は木曜日。「裾野教室」があれば授業の内容が書けるのですが、今年4月以来しばらく休止しているので、「UG会」の名称の由縁であるアメリカの言語学者「ノーム・チョムスキー」についてのお話をしようと思う。題して「UGとは?」
 UGはUniversal Grammarの頭文字で「普遍文法」の意味です。2007年3月、高校教員退職後1年務めた予備校「三島進学ゼミナール」が高校部を廃止するというので、三島の「ゆうゆうホール」で初めて自分の英数塾を立ち上げた。オープンするのに名称を考えたら「UG会」が浮かんだのは西宮の高校時代にやっていた通信添削「Z会」(実力増進会)のもじりでもある。(自分の故郷長泉町に本社があったとはオドロキ!)大学時代から教員時代を通じて40年忘れずに研究を続けてきたのは「チョムスキーのUG理論」だったからね。しかし、しばらくすると「三島駅」のまん前に黄色い「UC塾」の看板が立っていることに気が付いて悩んだ。そこを尋ねてみると経営者は「内田」さんでUchidaのイニシャルということだった。
 私は大学3年でハンガリー語の徳永康元教授から「言語学」のてほどきをうけ4年の時、夜間に渋谷駅前のビルで始まった「理論言語学講座」に入学した。東大の服部四郎・早稲田の川本茂雄・慶応の鈴木孝夫という言語学会のそうそうたる大先生の講座を受講することができた。おまけに授業料免除で!特に東大の藤村靖先生の「変形文法」の講座は大きな衝撃だった。「能動態」を「受動態」に書き変えるルールを打ち立て、言語を数式で表現しようという発想はその後の「生成文法理論、UG理論」に発展していった。米国MITに留学し「ベル研究所」でも活躍した藤村先生はチョムスキーの紹介者として、新刊の「言語の構造」Linguistic Structuresを教材に新しい言語理論を伝えてくださった。 尾上
2023/09/07 (Thu) 20:43


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