「フジアザミ」
戻ってきた酷暑を逃れて富士山5合目の「太郎坊」に行ってみた。登山シーズンの9月10日までは「須走口」も含めて他の登山口がみなシャトルバスに乗り換えないといけないから、マイカーで直接行ける唯一の5合目なんだ。家からは20キロ足らずで30分で到着。今日の山頂はガスがこめて視界がよくないけど、ここは標高が1500mもあるから御殿場市内よりも7℃も低くてとても涼しい。犬を連れて散歩に来たご夫婦にも出会ったよ。
登山靴に履き替えて30分ほど歩いて6合目の「大石小屋」まで登ってみた。「富士山に緑を返そう」の掛け声に合わせて植樹をした区域もあり、砂漠のような火山灰地のなかに緑の草地が点在している。ノコンギクやクサボタンも咲いてもうすっかり秋の景色だ。オノエイタドリも赤(名月草)やピンク、白の花がさかりだし、ヒマワリのように巨大な頭花が重たげに首を垂れているフジアザミも咲き始めてその薄紫色の綿毛が美しい・・・。
2年生のTAさんは前回、英文の書き換え問題で I regret that I couldn't attend the conference.「その会議に出席できなかったのは残念です。」は「仮定法」の動詞を使って「出席できていたらよかったのに。」I wish I could have attended the conference. が正解。今日から「接続詞の構文」に入った。Run faster, or you will be late for school. 「もっと早く走れ。さもないと学校に遅れるよ。」命令文のあとにあるand(そうすれば)やor(さもないと)に注意しよう。
KA君は前回「疑問文」の英作文と語句整序の問題をやった。「君はだれが優勝したと思う?」は、Who do you think won the first place?というよ。同じ「間接疑問文」でもDo you know who won〜のようなYes-No Questionとは違って、thinkやsayのような「意味の軽い動詞」の時は疑問詞のwhoを文頭に出さないといけないのだ。今日は「〜する人はだれでも」の意味になる複合関係詞のwhoeverを勉強した。whereverなら「〜するところはどこでも」のようになる。
MAさんは前回「拓殖大」の語句整序問題で、「あなたが好もうと好むまいと、宿題を提出しなければなりません」は You must hand in your homework whether you like it or not. という。likeは「〜を好む」で他動詞だからitが必要。同様に「〜をやめなさい!」もStop it ! だよね。ただのStop ! は自動詞で「とまれ!」になってしまう。今日は「関係詞」の「非制限的用法」を勉強した。関係詞の前にカンマがついて区切って読むようなときは「先行詞」の説明を後から加えるだけだから「制限(修飾)」しない用法ということ。
OB君がやっと出席できた。夏休み中は特に「部活」が忙しくてなかなかUG会に出られなかったらしい。今日はユニークな英作文から始めた。「〜は」で始まる日本文がなかなか難しい。「帰りは10時か11時。」He comes home at ten or eleven. 「この本は昨日買ったばかり。」 I bought this book only yesterday. のように「〜は」が発話のテーマを示す働きだから主語とは限らない。目的語にもなるし、場所や時を示すことだってある。有名な「ぼくはウナギだ。」の文は動詞にwant (to eat) を使わないと英語にならない。
1年生のSU君は前回「日記」を英語になおす問題をやったらよく書けていた。「今日は雨だった。」は主語にItを用いてIt was rainy today. がいい。「は」が主語になるとは限らないから。今日は「話法」の勉強を1からやった。人のセリフを直接そのまま引用して相手に伝える方法(直接話法)と、内容だけを要約して伝える方法(間接話法)があって、相互に言い換えできる力をつけたい。「平叙文」だけでなく「疑問文」も、「〜かどうか尋ねた。」のように言いかえできるように。
YAさんは前回「前置詞」のofが日本語では所有の「〜の」だけではなくで、主語の「〜が」とか目的語の「〜を」になる例を教えた。米国第16代大統領リンカーンの1863年の演説・・government of the people, by the people, for the people shall not perish from the earth. は「人民の人民による人民のための政治は・・・。」と和訳されて、語呂がいいからすっかり定着しているけど実は誤訳(!)なんだよ。動詞governは「統治する」だから「人民による人民のための人民統治」とすべきで、前半のof the peopleは動詞governの目的語で「人民を統治すること」なんだ。だれがいつこんな誤訳をやったのかね。明治時代の有名な英文学者なら夏目漱石かな? 尾上
(追記)この「大石小屋」には下山してくる人がたいてい立ち寄るよ。山頂から「大砂走り」を駆け下りたときに靴やズボンに浴びた砂を叩き落とすハタキを無料で貸してもらえる。洗面器にいっぱいの水を買うこともできて顔や体の汗を拭きとっている白人の若者ふたり。かき氷をうまそうに食べている中国人など外人が目立つ。私も顔なじみのご主人にラーメンを注文した。このコースは火山灰だから登りづらくもっぱら下山専用になっている。10年前に皇太子様がここを利用したので「プリンスコース」とも呼ばれている。
ここは新田次郎の小説「芙蓉の人」の舞台だ。130年も昔明治の中頃、最高峰の「剣が峰」に「富士山測候所」を建てた野中至夫妻の実話でテレビトラマ化もされた。冬の猛吹雪のなかでも夫婦は山頂の測候所にとどまり、気象観測や台風の予報に大いに貢献したという。今は「測候所」の円形ドームも外され、代わりに「気象衛星ひまわり」が飛んで空の上から台風の動きを克明にとらえている。
今は山頂まで業者はブルドーザーで荷物を引き上げるが、昔は御殿場駅からバスできて「太郎坊」から歩いて登った。なかには馬に乗って8合目まで行く人もいたそうだ。
