2018年7月8日(日) 御殿場市民会館にて
「雨の日は読書とオペラ」
そんなに早く梅雨明けするわけない、と思っていたらやはり日本列島に梅雨前線が戻ってきたよ。山にも畑にも出ていけない雨の日はオペラに限る。先日はオン・デマンドでプッチーニの名作オペラ「ラ・ボエーム」を見た。タイトルは「ボヘミアン」つまり「流浪の人、自由奔放な生活の人」の意味で、パリの屋根裏部屋で貧乏生活をする若い詩人や画家の卵4人と恋人たちとの喜びと悲哀を描く。馴染みの美しいメロディーが次々と流れ出して陶酔の境地になるよ。
これはニューヨークのメトロポリタン歌劇場で今年2月に上演した舞台で、世界各地の映画館でもほぼ同時上映された。日本では字幕スーパー制作のためにたいてい1ケ月遅れに日本全国で上映される。新宿や銀座の映画館に出かけて見ることもあるけど、私は長年メトのオン・デマンド会員になっているから自宅のパソコンでこの舞台をいつでも見ることができる。字幕は英語だから勉強にもなるし実に楽しいよ・・・。
3年生OSさんは前回「分詞構文」を勉強した。並べ替えで「バスの中に空席がなかったので、私は立ちっぱなしだった。」は前半を独立させればThere was no vacant seat in the bus. と書ける。これを分詞構文で後半につなげるにはその語順通りにThere being 〜と直せばいい。Thereを主語扱いするのだ。今日は「名詞・冠詞」を勉強した。英作文を書くときには名詞の前にaやtheをつけるかつけないかが重要。advice(助言)information(情報)は量で表すからaや-sがつけられない。furniture(家具)baggageやluggage(荷物)も分量で考えるから同じだ。
2年生ARさんは「分詞構文」のイディオムをたくさん覚えた。Generally speaking, we cannot talk usefully about a language without talking about culture, for they are inseparable.は文頭にIf we speak generally「一般的に言えば、」の意味で分詞構文が使ってあるね。カンマの後のforは後がSVなので「等位接続詞」の「なぜならば」だ。「なぜなら言語と文化は分離できないから。」前半はnotとwithoutで「二重否定」の構文になっていることに気づいてほしい。「文化について語ることをせずに、ある言語についてうまく語ることはできない。」という直訳よりは、「ある言語について語ると必ず文化についても触れることになる。」のように肯定文で訳す方が明快だね。
裾野教室のMAさんがこちらに出席して「動名詞」をつかう慣用表現を6つ覚えた。Staying up late just before an examination, for example, is not a good study habit. で動詞のisの主語は何?Staying up late(徹夜すること)だね。for exampleの前後にあるカンマに注意してほしい。本当は文頭に置けばいいものを、Vの前に「わりこみ」させたのだ。「たとえば、試験の直前に徹夜することは良い勉強の習慣ではない。」和訳のルールとして「カンマカンマはカッコにくくる。」を覚えよう。「筑波大」の英文I didn’t have time to experience the honeymoon phase often mentioned in studies of culture shock.が難しかったね。「カルチャーショックの研究でよく言及されるような『蜜月段階』を味わうだけの時間がなかった。」honeymoon phaseは周りの人がチヤホヤ甘やかしてくれる期間のことだよ。
1年生MAさんは前回「仮定法」の動詞を含む長文「マクドナルド兄弟のビジネス」を読んでほぼ正確に和訳できていた。If we made the customers come to the counter, we wouldn’t need any waiters or waitresses.は「もし仮にお客にカウンターまで来てもらうとすれば、ウエイターもウエイトレスもいらなくなるだろうが。」のように、現実とは反対の仮定的な話に訳せば正解だ。今日は「受動態」の文法・作文がとてもしっかり解答できた。「比較」の構文は少し難しくて注意が必要。 Ken doesn’t speak English as well as Lisa.「ケンはリサほど英語がうまく話せない。」は、後のasが「〜と比べて」の意味の接続詞だから、本当はas Lisa speaks English well(リサが英語をうまく話すのと比べると)が続くのだけど、前の文と同じものはどんどん省略するのだ。
1年生のKAさんは前回「比較」を勉強した。英作文で「若い間にでるだけ多くの本を読みなさい。」はまず基本文でRead many books while you are young. 「できるだけ・・・」.を付け加えるには、原級で「as形容詞as you can」だからas many books as you canが正解。前のasは「同じくらい」の副詞、後のasは接続詞で「〜と比べて」の意味。今日はやっかいな「仮定法」の基礎を解説して、さっそく練習問題をやってもらったらほぼ正解が出せた。「もし〜なら」と、「今」の反対の仮定には動詞の「過去形」、「昔」の場合は「過去完了形」を使う、つまり「一時制」ずれると覚えれば間違いない。帰結で「〜だろうに」といいたければ「今」ならwould V で「昔」ならwould have -edと覚えればいい。
KI君は「大阪大」の過去問で長文「自然環境を守るには金銭に換算するしかない。」という面白いエッセイを読んだ。Until recently, this potential to use natural services rather than technology to solve problems has been largely overlooked, が難しかったね。「最近まで、問題解決のためにテクノロジーよりもむしろ自然の力を利用できるというこういう潜在能力はかなり見過ごされてきたのだ。」 内容一致の問題はしっかり正解が出せた。文法・作文は「代名詞」を勉強した。He thinks himself to be somebody.は「彼は自分が大した人間だと思っている。」somebodyは「ひとかどの人物」でその反対はnobody。
今日は見学に来てくれた1年生がさっそく入会してくれた。付き添いのお母様は見覚えがあって、なんと私の30年前御殿場南高校での教え子だった。こういう出会いは実に楽しいね。週1回ですがここではたっぷりと時間をかけて英語がきっと得意科目になりますよ。 尾上
(追記) 家の食卓にはエッセイスト「米原万里」の文庫本がいくつか置いてあって空いた時間に少しずつ読んでいる。「ロシア語」の通訳だった時の体験をつづった「不実な美女か貞淑な醜女か」が面白い。東京外語大のロシア語科出身で私には7年後輩になるけどすごく優秀な人で東大の大学院に進んだ。日本共産党幹部だった父親の出張先のチェコ・プラハで小中の5年間「ソビエト教育」を受けたユニークな体験が生きている。
残念ながらガンのために55歳の若さで早世したが、こんなにユーモアたっぷりで歯に衣着せぬ語り口の上手いエッセイストはほかに類を見ない。世界の要人たちの「同時通訳」をした経験から米原は母国語の日本語の能力を大切にする。完璧に駆使できる言語を一つしっかり小さい頃から磨いておくことが大切で日本人なら日本語だ、と力説する。ことばは「あいさつ」や「自己主張」だけでなく、人間生活の思考と反省には欠かせないから。
日本の公立学校の英語教育が50年前から「英会話」偏重になってだんだんレベルが下がっていくことに私も杞憂する一人で、私の知る多くの大学教授たちも「小学校のうちの英語は公教育では害あって益なし。」と言っている。まずは日本語で論理的な思考と独自の表現ができないのであれば、それが英語にも反映されるわけがない、と。母国語より上手な外国語なんてありえないからね。国語教育は大切にしいなくてはいけないね。
