御殿場市民会館にて
「琵琶湖の水を京都へ」
「琵琶湖」のホテルにチェックインする前に、大津市内の古刹「園城寺・三井寺」に寄ってみた。もう夕方の閉門時間だけど家康の寄進による堂々たる山門と室町時代の「仁王像」が見られて初めての弟も感動していた。私の今回のお目当てはこの「長等山」の山裾を貫通している隧道(トンネル)だった。それは明治23年(1890年)に5年の工事で完成した「琵琶湖疎水」の入口なんだ。
レンガ造りのアーチ形の入口は鉄の扉で閉ざされ、水も流れていなくてまだ冬枯れの寂しい風景だった。堰堤には桜の木が一面に植えられて市内で一番の「花見」の名所らしい。もうすぐ桜の季節になれば湖畔の「閘門」が開いて、この疎水に「琵琶湖」から水が流れだすのだ。3年前に復活した観光用の「疎水船」は6人乗りの小さなボートで、この「三井寺」の乗船場から京都「蹴上」の下船場まで3つもトンネルを抜け、満開のサクラを眺めながら8キロを下って行くことができるという・・・
2年生のSI君は前回「強調構文」It is〜that・・を勉強した。Paper was not made in southern Europe until about the year 1100. の文末の「時」を強調するとIt was not until about the year 1100 that paper was made in southern Europe. が正解だ。notは「文否定」の語で、until以下にその焦点があるからnot until〜「〜以前ではない」つまり「〜以後のこと」を強調している。どちらの文も「1100年になってやっとヨーロッパ南部で紙が作られた」と肯定で訳した方がいい。今日は「無生物主語の文」をやった。「物」が「人」に〜させる、の文型なので逆に、「物」によって「人」が〜になる、と和訳したほうが自然になるね。
TU君は前回「代名詞」で語句整序の難しい問題をやった。「新年の祝い方は国によって異なる。」は、動詞differsを使え、だから述語はdiffers from one country to another.(国ごとに異なる)でfrom〜to〜を使う。主語はHow people celebrate New Year's dayのように「関係副詞」のhow(〜の方法)+SVで書けばいい。how to celebrate〜 は「どうやって祝うべきか」の意味だからおかしい。今日は「名詞構文」の勉強で、People's lives have been changed because of the immediate spread of news.がうまく和訳できた。後半はspreadが名詞用法なので「名詞構文」の一種なんだ。元の動詞に戻すとbecause news spreads immediately(ニュースが即座に広まるので)という節と同じ意味になるんだね。
今日は裾野教室の1年生ICさんが参加してまず「完了形」の英作文をやった。「ジョンは日本に来て3週間になるが、こちらの生活様式にすぐになれるだろう」は、この「が」は逆接のbutじゃなくて単純にandくらいでいい。切って2文に分けた方がすっきりする。「来て・・」は「来て以来・・」の意味だから接続詞sinceでつないでIt is three weeks since John came to Japan. 後半はHe will get used to the lifestyle here soon. あるいはsoon の代わりにIt will not be long before he gets used〜もよく見る構文だ。英作文がちゃんとかければ英語で話すのも簡単だ。自分の考えが発信できなきゃ英会話が上達したとは言えない。学校でやるALTの授業が、1対40ではせいぜい「聞き取る」練習しかできない。高校でもっと英作文を書かせる授業をやってほしいなあ。 尾上
(追記)最近NYから帰国して京都の街中に移り住んだ友人夫妻が、昨年春この「疎水船」に乗ってきました、とメールにあった。その話に刺激されて私も実は11月末の紅葉の季節に乗船したいと思い、船の空席を見つけて予約してGo Toも利用して「琵琶湖」の旅行計画を立ててあったのだ。小説「京都インクライン物語」も読んで関心を深めていた。ところが母の突然の大往生があってキャンセルしてしまった。
比叡山に登った豊臣秀吉が「この琵琶湖の水を都に引けたなら・・・」と嘆息したという。その16世紀の夢を19世紀の終わりに、東京の工部大学(後の東大工学部)を出たばかりの田辺朔朗が建設主任に抜擢されて日本人だけの力で完成させたものだ。米国で始まったばかりの水力発電を視察して導入し、日本最初の発電所をトンネル出口の「蹴上」に作ったのも田辺なんだ。京都市内の電車や工場の電力に利用され、水運や灌漑用水など多目的に大いに活用された。(つづく)
