「パイプで走る怪獣」
甲府の美術館へ行ってすごく面白いものを見てきたよ。100本足の骸骨のような巨大なムカデのような動物が海風をうけて砂浜を駆けていくんだ。NHKテレビの日曜美術館で見てすっかり夢中になった。「山梨県立美術館」が4月から開催中の「テオ・ヤンセン展」の紹介。高さ4m、身長10m以上もあるような大きな「ストランドビースト」つまり「パイプの怪獣」がバッテリーもなしに風の力だけでなぜ歩いたり走ったりできるのだろう。県外だけどコロナに注意して甲府まで行ってみよう。
「種まく人」などミレーの傑作を所蔵しているので有名な美術館による特別展だった。会場の人数制限のためにネットでの事前予約が必要で、18日当日には美術館玄関での検温、消毒、30分以上の待機をしてやっと入場できた。白いパイプと白い帆でできたヤンセンの作品が大小20個ほど展示されて、海辺で走る姿をビデオで見ることができた。ビーストのたてがみ(帆)に人工の風を送っていよいよデモンストレーションが始まった。全く何の音もたてずに100本の足が次々と動き出したよ・・・
1年生MUさんは「学校の試験勉強を自宅でします」、とLINEでお休みの連絡をくれた。3年生の二人からも同様に、「部活で今日は大会があったため疲れ切ってしまいお休みします」、と連絡があった。というわけで今日は出席者がゼロ。私は会議室で読みかけの本を1時間ばかり読んでいるうちに今日は教室を閉めた。私が今日20日が誕生日なので、「早く帰ってお家でお祝いしてください」、という気遣いなのかな?
アイヌ語研究の第一人者「金田一京助」の全集15巻のうち「文芸」の随想が面白い。上京してきた盛岡出身で同郷の「石川啄木」を自宅に寄宿させ、天才詩人「北原白秋」との交流にも触れるなど、大正昭和の日本社会がほうふつとして実に面白い。息子の「金田一春彦」は私の外語大時代の恩師でもあるし。
3年生のSI君は前回、「旭川医科大」の入試問題「女性は男性より感情面で大脳が発達しているのか?」という11パラグラフもの超長文を読んだ。しかし設問は下線部訳が中心で心配には及ばない。One important point must be remembered: researchers see greater differences・・・「ひとつ重要な点を覚えておかないといけない。すなわち、研究者たちは・・・」のように、「コロン」以下は前文のpointの説明だから「すなわち」と、訳を加えておきたい。
TU君は前回、熊本大医学部の入試英文「羊のドーリーを生んだクローン技術は人間にも応用されるか?」を読んだ。I use the term loosely. 「私はその語を大雑把に使っている」とは何か?の設問は、直前の文について説明すればいいから「born(生まれた)という用語を正確には使っていない、」が正解だ。 尾上
(追記)年々作品が進化して今も新たなビーストを開発中のオランダ人アーチスト「テオ・ヤンセン」は、元々物理学者で科学とアートの融合を目指しているそうだ。砂浜を風の力で歩いたり走ったりするだけでなく、犬のようにしっぽを振る、ハンマーで杭を打つ、海水を察知したら後退するとか、ペットボトルに圧縮空気を詰め込んで風の少ないときにはその力を利用するとか。開発の初期はひっくり返って手足をバタバタさせるだけだったのが、立ちあがって歩けるようになったとは。
隣の展示室は「体験コーナー」になっていて、人体よりも大きなビーストを実際に手で動かして往復させてもらえる。幼稚園児の後に私も参加させてもらい、人差し指一本で引いても滑らかに動くのを確かめた。関節の摩擦もなく音もたてず確かに海辺のそよ風でも動きそうだ。どんな仕組みなのか、不思議だなあと思いつつ帰宅した。あと3日で終了して次は熊本市の美術館に移動するそうだ。すごいものを見た。









