「上高地帝国ホテル」
「大正池」から流れ落ちた梓川の急流を渡って「中の湯」のバス停で乗車すると、すぐに「釜トンネル」の中をバスは進む。2005年に完成した3代目の「釜トンネル」は全長1.3キロで天井も高く対面通行できて歩道まである。今は年中マイカー規制だけど40年前に私が家族とマイカーで通った頃はまだ掘削の跡が残る真っ暗な一車線、上り下りが信号で切り替えらるという2代目のトンネルだった。「釜トンネル」の名の由来はこのあたりが特に急傾斜で、流れ下る梓川のしぶきが「お釜」の沸騰のように見えることから「釜ヶ淵」と呼ばれたそうだ。初代はもう100年も昔で、入口出口の土砂崩れや鉄砲水が流れ込むなどで被害が絶えなかったという。
トンネルを抜けると目の前に「大正池」が広がる。昔は池に白い枯れ木がたくさん林立していたのに今は見えないな。大正4年に「焼岳」が爆発して土石流が「梓川」をせき止めて大正池ができた。だからその50年後にはまだ水没した木々が残っていたのだ。それは私が東伊豆の「稲取高校」で正式に英語教師を始めた年の夏、同僚の若い先生4人で「奥穂高」に登った時のこと。理科の佐藤先生が山の花の名前を教えてくれた。黄色の「信濃キンバイ」と白い花「白山イチゲ」が私の覚えた最初の花だ。翌日「岳沢」を下ってきてこの「大正池」で遊んだなあ。さて、バスは「大正池」をすぎて「上高地帝国ホテル前」に停車。森の中に赤屋根が美しい瀟洒なロッジ風の高級ホテルだ・・・
2年生のMUさんは前回「弘前大」の英作文で、「初めてアメリカへ行く人が、はたして自分の英語でわかってもらえるかと不安になるのは当然のことだ」は、It is natural for the first visitor to the U.S. to feel uneasy as to whether he can make himself understood in English. 「〜かどうかについて」が難しかった。疑問詞の前にはas toを使う。今日は書き換え問題でNo matter how wise a man may be, he sometimes makes a mistake.(人はどんなに賢くても時は失敗するものだ)は、「どんなに賢い人でも」と言い換えられるからThe wisest man sometimes makes a mistake. のように「単文」で言える。最上級の形容詞の前にeven(さえも)が省略されているよ。
IKさんは前回、文法の間違い探しが難しかった。As technology increases, so do one’s ability to communicate with the rest of the world. 「科学技術が高まるにつれて、人が世界のほかの国々の人と対話する能力も高まっていく」は、後半の長い主語が「倒置」になっているから動詞doをdoesにしないといけなかった。「私もそうです」はSo do I. だったね。the restは「休憩」のほかに「ほかの部分、人々」の意味があるよ。今日のテーマは「非人称のIt」で、Now it’s the laboratory staff who are learning sign language.が難しかった。これはThe laboratory staff are learning〜という文の主語を強調するために文頭に移動してIt isとthatで挟み込む文「強調構文」だ。「人」ならwhoを使う。日本語でも「・・・なのは〜だ」と文の最後に移動させるね。同じ文法だよ、UG理論からは。
3年生のWAさんは前回長文で「人間の言語は無限」を読んだ。symbolicは「象徴的」のほかに「記号上」の意味がある。目の前に具体物がなくても「言語」という抽象的なシンボル(記号)で表現できるから、使用範囲が無限でゼスチャーなどの他の伝達方法と異なる、ということ。今日の英文「古代ローマの都市の騒音」ではThey couldn’t sleep, they said, with all that traffic in the streets. 「通りにあんな交通量があるから眠れない、と彼らは言った」が難しかった。挿入のthey saidを文頭に戻せばwith以下は主文の「付帯状況」だとわかる。〜with his legs crossed(脚をくんで〜した)や〜with a cap on(帽子をかぶったままで〜した)と同じだね。 尾上
