私たちが37年前に引っ越してきた時には森の中の一軒家で街灯もなかった。「対山荘」と呼ぶ昭和初期の別荘地のなごりが近所に残り、黒沢明監督の「七人の侍」が撮影された土地でもあった。その「二の岡」がいまではこのように1キロも続く見事な桜のトンネルになって車の渋滞まで起こしている。「プレミアム・アウトレット」から「高原ビール・時の栖」まで通うシャトルバスがひっきりなしに通る賑やかさ。変わったなあ・・・。
2年生のMIさんは「第5文型」でつかう「不定詞」の働きを勉強した。動詞ごとに分類すると(1)want人 to〜「人が〜するのを望む」(2)tell人to〜「人が〜するように命ずる」(3)think人to〜「人が〜だと思う」のように、to〜(不定詞)の主語が相手の人であるような場合を注意して覚えよう。特殊な場合として(4) make人〜 「人に〜させる」は不定詞にtoが不要な場合で、let、have、helpを含めて「使役動詞」と名付ける。同じく(5)「知覚動詞」see、hear、feelでも不定詞にtoが不要だ。今日は英作文でかなり力を発揮できたね。「比較構文」が少々難しかった。
SEさんは前回入試の英作文で「この色あせた写真を見れば、かならず義母を思い出す。」は never 〜 without –ing の構文が使えることをしっていたけど用法が逆だったね。「思い出すことなしに、写真を見ることはない。」 となるように英訳する。I never look at this faded photo without remembering my step-mother. 今日は「不定詞」の文法問題をやってから入試問題の和訳もやってみた。「仏教大」のAfter we had washed our faces, I went downstairs to see what arrangements I could make for an evening meal. はSVが3組あるね。 could makeとはどういうこと?その後に当然来るべき「〜を」(目的語)がないからおかしいと思わねば。ここではmake arrangements 「準備する」のつもりで、間接疑問文だからSの前に出たのだ。「夕食のためにどんな準備ができるのか、見てみようと・・・」
新3年生のOMさんが入会希望を出してくれた。短時間だけどさっそく第1回のプリントを少しやってみた。「代名詞 It の用法」から始めよう。1年、2年で勉強した It をここで総復習して入試問題に挑戦する。とても範囲の広い深い項目で始まるから少々大変だけど、1問、1問切り崩すつもりで学力を高めていって欲しい。そして単純で孤独な作業だけど一番大切な「単語・熟語」の暗記にかなりの精力を費やして欲しい。1日に20語覚える!100日で2000語になるよ。英語は「歯磨き」と同じで毎朝毎晩やるものです。 尾上
(追記)オペラの名曲が、いつでもどこでも聴ける環境は実に嬉しい。先週末仲間と山梨県の山に登って以来3日ほど風邪ぎみで、いつもより早めにふとんにもぐってNYのラジオ放送(WQXRと呼ぶ)を一晩中つけっぱなしにした。これはNHKの「らじるらじる」と同じく、ラジオをネットで配信しているので世界中で同時に聴くことができる。
特徴はFMとAMが6局もあって、オペラならオペラばかり、ジャズならジャズばかりを24時間流してくれる。別のジャンルの物は全く混ざらないしニュースも入らない。広告もなしで資金を寄付金に頼っているのだ。そうだ、アメリカは寄付(Donationと呼ぶ)がとても盛んな国なのだ。寄付すると免税の利点もあるからね。広大な国だから「深夜放送」という感覚もない。NYの地下鉄は24時間走っているし。
流れてくるのはヴェルディやプッチーニ、ロッシーニなど流麗でドラマチックなイタリア語のオペラが70〜80%なのはきっとアメリカ人の好みだね。ドニゼッティやベッリーニのようなベルカント・オペラが特に好きなようだ。古典的なモーツアルトやリヒャルト・シュトラウス、ワグナーもドイツ語で時折挿入される。しかし、たまにロシア語が聞こえてくるとわくわくしてしまう。
歌詞がある程度理解できるし、泥臭いロシア民謡風のスラブっぽいメロディも楽しい。ニューヨーク市に住むロシア人はかなりの比率なので喜ぶ人も多いのだろう。しかしロシア語で書かれたオペラは数少なくてかのチャイコフスキーでも2、3曲だ。
特筆すべきは「エフゲニー・オネーギン」といって、文豪プーシキンの叙事詩を題材にオペラ化された曲。オネーギンとピストルで決闘する羽目になって親友レンスキーが歌うアリア「青春は遠く過ぎ去り」はもっとも有名だ。後半で若い頃オネーギンへの愛を拒絶され公爵夫人になったタチアーナが歌うアリアも美しい。
オペラではないが、大学のロシア語授業で和久利誓一先生が授業の教材に取り上げて、モスクワから仕入れたLPレコードを授業でかけてくださったのは「エフゲニー・オネーギン」の詩を朗読したものだった。私の本棚にはこの詩の原書が今も手に取れる所にある。手のひらサイズの小さな本だけど時折カラーのイラストが入り、小説というより詩集の体裁だからどこを開いても詩のながれが読める。最後にタチアーナが背中を向けてオネーギンを拒絶し立ち去る挿絵で終わっている。
