昨日は久しぶりに東京・新宿に出た。オリンピック記念センターで「理論言語学講座」の「50周年記念セミナー」が開催されるので、これは第一期の受講生としてはぜひ出席せねばならぬ、と代々木公園の会場に行ってみた。懐かしい先生方や顔なじみの受講生も含めて約200名が参加して大盛況だった。3人の講師と作家・林望さんのお話におおいに刺激を受けた。
2日間のセミナーの第1日目が終わって慶祝のレセプションがあった。「乾杯!50周年おめでとう!」第一回の講座を担当した最高齢・慶応大の鈴木孝夫先生、首都大東京の今井邦彦先生、昭和女子大の池上嘉彦先生など、大学を退職されてもまだまだお元気で楽しいスピーチをなさった。司会の明海大・大津由起雄先生が「もう一人、お願いしましょう。第一期生の尾上先生!」と言って突然一介の受講生だった私をご指名。僭越ながら50年前の思い出を短く話しご祝詞を述べて逃げた・・・。
2年生YAさんは、前回「助動詞」の単元で和文英訳をやった。「どうにか〜できた」は could ではなくて managed to 〜が使えるとよかった。今日は「形式目的語 it 」を勉強して、特に take it for granted that ・・・「・・・を当然のここと思う」を覚えた。「熊本大」の和訳では Letters liberate the imagination and exercise the mind. が難しかったね。ここの andは何と何をつないでいるの? 動詞のexercise〜と動詞の liberate〜だね。だから「手紙は想像力を解き放ってくれるし、頭を鍛えてくれる。」と訳せる。andを見つけたら△マークで囲って「A and A' 」のルールをいつも使えるようにしよう。後半は「前置詞+関係代名詞」の働きを勉強した。2文を1文につなげる方法が少し理解できたようだね。
EN君は前回「不定詞」を使う和文英訳をやった。ほぼ正しく書けていた。文法は新たなシリーズで、「It を含む構文」をやったら70%は正解が出せたね。今日は「目的」(〜するために、〜できるように)を意味する副詞節 〜so that S may V・・・を勉強した。「名古屋学院大」の和訳で、 In Europe, during a short Sunday afternoon's drive, one might cross a border and need to use a second
language. でも and があるある。△マークをつけたのは良いけど、「A and A' 」のルールを忘れてたね。ここでは動詞need〜が動詞cross〜と並列して、助動詞 might に続いているから、「ヨーロッパでは、日曜の午後ちょっとドライブに行くと、国境をこえてもうひとつの言語を使う必要があることもある。」ここの「A and A'」は「2つのこと」ではなくて、「Aしてその結果A‘する」という1つながりの行為だ。EN君、明日のテスト対策で早めに帰宅した。
大学生のYAさんは前回「福岡女子大」の英作文をやった。「日本の教育の近代化」についての話で、ほぼうまく書けていた。今日は英検準一級の過去問で第3問「長文読み取り」と第4問「英作文」をやった。「激戦地の難破船処理」、「環境にやさしいセメント工場」「竜巻を追いかける米国人」の3つはどれも面白い!今日は10問のうち8問も正解だったね。
大学1年生のYAさんに雑談で、「自分の大学にないものは他の大学や公開講座に求めるといいよ・・」という話をした。私の母校は外国語大学だったから「科学」がないのは仕方ない。本当は「人文科学」の一分野で「人間の言語・文化を科学している」はずだけど適切な講座がみつからずに、3年間手探りしているときに巡り会ったのが上記の「言語学セミナー」だった。どんな分野でも、自分の専門を極めるには「セカンドスクール」を探すといいよ。 尾上
(追記)昭和41年春、私は澁谷の東急ビルで始まった新しい言語学の講座に参加した。外語大4年生の時で週に2回、2コマ3時間の夜学に通った。講師陣は東大の藤村靖、慶応の鈴木孝夫、早稻田の川本茂雄教授らそうそうたる言語学の重鎮が顔をそろえていた。そして先頭にたつ実行委員長は東大の服部四郎教授で、私は日本で最高の「音声学」の授業を受けることができたのだ。
東京澁谷で英語学校を経営していた榊原陽という人がその年、「ラボ・パーティ」という子供の英語早期教育のビジネスを始めた。今でこそたくさんあるその類の英語学校のパイオニアだ。現在も広く全国展開していて沼津にも御殿場にも教室がある。遊びを通して英語を身につけようというアイデアだ。宇宙飛行士の若田光一さんや楽天イーグルスの会長・三木谷浩史氏もその卒業生だった。
さらに言語学の研究所の必要を感じた榊原陽氏は私財をなげうって、東大・言語学科の服部四郎教授を委員長として「理論言語学講座」の開設にこぎつけた。東京近在の著名な言語学科の先生たちに呼びかけて発足したセミナーだ。ある日朝日新聞に大きな広告がのって「新しい言語学の学徒来たれ!」を知り私は応募した。入試はあったが授業料が無料という話に大いに期待して。
私はそれ以来50年言語学の虫でずっと門前の小僧だ。米国MITから招聘した若き言語学科教授「チョムスキー博士」や「ヤコブセン教授」の特別講演も思い出深いが、静岡県の教員になってからしばらく足が遠のいた。島田から御殿場の高校に転勤して東京が近くなったことで、20年ぶりにこのセミナーの門をたたき10年間新宿の三井ビルに通った。そしてこの趣味(?)が高じて「東京学芸大」の大学院に進学することになったわけ。









