【※重要なお知らせ】Alfoo有料化への移行に伴う重要なお知らせ。


人の意思を世界に掲げる
最近、十字架が美しいと思い始めている。

わたしはキリスト者ではなく、十字架の宗教的な意味もよく知りはしない。ゴルゴダの丘で磔刑にされた男がいて、なぜその拷問の道具であるアレが聖なるシンボルとなるのか、その感覚も背景もわからない。全く共感できない。しかし十字架のあの形は美しい。

森博嗣さんが何かのどこかで『自然界には直角というのはほとんど見られない。自然に形成される形ではない。直角で構成されている十字架というのは、だから人の意志そのものだ』みたいな事をおっしゃっていたような記憶がある。本当にうろ覚えで申し訳ないし、ご本人の意図するところとは全く外れてるかもしれないけれど、そのような事をどこかに書いていらした。
(その一文にそれ以上のいかなる判断も記されていなかったように記憶している)

森博嗣さんがおっしゃるような意味合いが実際にあの形に託されているのかどうかはわたしにはわからないし、そもそも森博嗣さんのその文章に対するわたしの記憶も疑わしいのだけど、宗教的なシンボルとして人の意思を世界に掲げるというのは、我々日本人にはあまり馴染みの無い感性のような氣がします。うーん、なんとなく。
で。「もしも、世界に対して人の意思の存在を主張する事に宗教的な意義があるのだとしたら、わたしはそこに美しさは見いだせない。それは人の思い上がりでしかないのではないだろうか」などと、うすらぼんやり考えていたのだけど。‥‥最近何故だかその『人間の意思の象徴(なのかもしれない十字架の形)』がとてもとても美しく思えて来た。

わたしは今まで心のどこかで「人間は汚い」「人は醜い」と、思っていたのだと思う。例えばわたしが『世界は美しい』と言う時には、常に『(人間さえいなければ)』という但し書きが付いていたのだ。

世界に我々人間が存在している以上、人間の存在を認め無い限り、世界をまるごと受け入れているとは言いがたいわけだから、それはすなわち世界への信頼の欠如であったわけで、ここへ来て急に十字架を美しく感じ始めている事で、逆説的にこれまでの自分の世界への不信感を知ることになってしまったような氣がして、なんだかとても淋しい氣持ちになった。
淋しい気持ちになってしまったのだけれど、どうやらわたしはようやく人としてのスタートラインに立つことが出来たみたいだから、これから巻き返そうと思う。


神様。

2017/02/05 (Sun)



 
人の思考は世界の肥やし
2017/01/24 (Tue)


魔法の学校
魔法の学校
ずいぶん以前にも紹介しましたが。

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「さて、きみたちは魔法の勉強をしようと思ってこの学校へきたわけだね。それじゃあ、きみたちが魔法の勉強をどんなふうに思っているのか先生におしえてくれないか」
 マーリが手をあげました。
 「たぶん、呪文とかきまり文句とかを暗記するんじゃない。。それから、身ぶりや手ぶりなんかも。」
 べつの生徒が言いました。
 「きっといっぱい道具や機械を使うんだよ。化学の実験につかうレトルトってやつだとか、とくべつな密閉容器だとか」
 ひとりの女の子がさけびました。
 「それに、いろんな薬草や粉や、薬も」
 べつの生徒がいいました。
 「魔法の杖も」
 男の子がいいました。
 「ひみつの文字で書いた本だっているんだよ。その文字を知らないと、全然読めないんだ」
 ムークがこうふんしてどなりました。
 「魔法の剣も!」
 マーリが夢見るようにはなしはじめました。
 「それに、きれいな長いマントもね。青いビロードで、星座のもようがかいてあるのよ。それから細長くてとんがった帽子に‥‥」
 ジルバー先生がさえぎっていいました。
 「そういうものはぜんぶ、表面的な魔法の道具にすぎない。そういうものがだいじだとかんがえる人もおおぜいいるかもしれないが、そう思わない人もおおぜいいるんだ。ほんとうに必要なものはもっっとかんたんだけど、しかし同時にもっとむずかしいことでもある。それは、きみたちじしんんのなかにあるんだ。」
 生徒たちは、どういうことかよくわからなくてだまりこみました。
 先生は話を続けました。
 「それは『望む力』なんだ。魔法をかけようとするものは、自分のなかにある『望む力』をよく知ってつかうことができなければならない。しかし、そのまえに、自分のほんとうの望みを知って、それをじょうずに生かすことをならうんだ。」
 先生はすこし休んでから、また話を続けました。
 「ほんとうは、自分の望みを自分がかくさず、ありのままに知るだけでもいいんだ。ほかのことはぜんぶひとりでにうまくいくものなんだから。とはいっても、自分のほんとうの望みがいったいなんなのかみつけだすだけでも、なかなかむずかしいんだがね。」
 ムークがききました。
 「みつけだずってどういうこと?ぼくがなにかを望むときは、ぼくじしんが望んでいるんだから、本気にきまってるだろ。でも、だからって魔法なんかかけられないよ。」
 先生が説明しました。
 「だから、さっきから『ほんとうの』望みといってるんだよ。ほんとうの望みは、自分のほんとうのおはなしを生きているときにだけみつかるんだ」
 マーリが質問しました。
 「自分のほんとうのお話?だれにでも自分のほんとうのお話があるの?」
 「いいや、だれにでもというわけじゃない。けっして、だれにでもじゃないんだ。」先生はためいきをつきました。「まあ、ここ『望みの国』では、まあまあうまいくあいにいってると思うけどね。でも、外にある『普通の国』では、じぶんのお話を生きたことが一度もない人がほとんどだ。あの人だちは、そういうことが大事だとおもってないからね。だれかがやってることをほかのものがやったり、なにかのできごとが、べつの人に起こったりしても、大きいちがいはないんだよ。そうじゃありませんか。」
 先生はそういうと、いちばんうしろの席にすわっているわたしをじっとながめました。子どもたちもみんな、わたしのほうをむきました。わたしはとまどいながらうなずいたのですが、顔がすこしあかくなりました。
 先生はまた話はじめました。
 「そういう人たちはけっして、自分のほんとうの望みをみつけだすことができないんだ。自分がなにを望んでるかくらいよくわかってると、いうかもしれないがね。たとえばゆうめいなお医者か教授か政治家になるのが望みだという人がいるとしよう。でも、自分で気が付いてないほんとうの望みは、そぼくな、いい園芸家になりたいというものかもしれないんだ。お金や権力を望んでる人は、ほんとうはサーカスの道化師になりたいのかもしれない。 ---中略--- だからそういう人は魔法をかけることもできないんだ」
 マーリが信じられないといった顔つきでたずねました。
 「それじゃあ、ほんとの自分でいて、ほんとの自分の望みを知っていたら、魔法をすぐにつかえるの?」
 「そういう人は、なにもしなくても、望みがかなってしまうことがよくあるんだ。まるでひとりでにそうなったみたいにね。」
 子どもたちはしばらくのあいだ、かんがえこんでいました。それから、ムークがたずねました。 
 「先生はほんとうに魔法がつかえるの?」
 先生はおもおもしくうなずきました。
 「もちろん。でなければ先生はやってないだろう。きみたちには、なんでも教えてあげるつもりだよ。それがわたしのほんとうの望みだから。」
 マーリがききました。
 「ちょっとでいいから、なにか魔法をつかってくれない?ためしに。」
 「ものごとには、すべて時期というものがある。もうすぐ魔法をつかう時もくるが、いま、わたしはそういう望みはもっていないんだよ。」
 子どもたちはすこしがっかりしたようでした。
 ムークが、せめて魔法をつかう話だけでもききたいと思って、たずねました。
 「先生はほんとうにちゃんとした魔法をつかったことがあるの。」
 「もちろんだよ。たとえば、きょうみんなが学校にくるように望んだら、きみたちみんなやってきただろう。」
 「なーんだ、そーんなの。」ムークはわざとまのびした調子でいって、マーリとめくばせしあいました。「もしかすると、ぼくたち、きょう、こなかったかもしれないよ。」
 先生はにこにこ笑って、首をふりました。
 「だけど、きみたちはきただろう。」
 生徒たちはくちぐちに大声でさけびました。
 「だって、くるつもりだったから、きたんだもーん。」
 先生は生徒たちをなだめていいました。
 「しずかに、しずかに!もちろん、きみたちはこようと望んで、きたんだろう。しかし、いい魔法使いはいつもあいての気持ちをよくかんがえて、ぜったいにむりにしたがわせたりはしないものなんだ。きみたちの望みとわたしの望みがうまくあったというわけさ。そこに、ひみつがあるんだよ。」
 マーリがしんぱいそうにたずねました。
 「だったら、悪い望みもあるんでしょ?それに、わるい魔法使いだって。」
 先生はまじめな顔になりました。
 「それはとてもだいじな質問だよ、マーリ。そのとおり。たしかにわるい魔法使いもいる‥‥だけど、ひじょうにすくないんだ。というのは、わるい魔法をつかうにはほんとうに自分じしんがわるくないといけないんだが、そんなことはなかなかあるものじゃない。なにもすきになっちゃいけないし、だれもすきになっちゃいけないんだ。自分じしんでさえもね。それに、わるい魔法使いのいうとおりになるのは、自分のほんとうの望みを知らないし、自分じしんでもない人たちだけだ。だから、きみたちががんばっていっしょうけんめい勉強することがだいじなんだよ。魔法をつかうということはしんけんなことなんだ。ほかの人をよろこばせようとしてやる時だってね。みんな、わかるかい」
 生徒たちはだまりこんで、なにやらかんがえこんでいました。

ミヒャエル・エンデ『魔法の学校』より
2017/01/21 (Sat)


スカッと三角
スカッと三角
この週末は寒波到来で大変に寒い。大変に寒いんですが、どこかにうっすらと春の氣配を感じますね。1月も半ばに差し掛かると日が長くなったなと実感したりして。

世界は一瞬も止まりません。

遅くなりましたが、2017年も『穴』をよろしくお願いいたします。
2017/01/15 (Sun)


冬至
中日までご無事で
2016/12/21 (Wed)


ゆりかご
世界はわたしの優しいゆりかご。
どんな夢だって見られる。
2016/11/15 (Tue)


いつもの
至日までご無事で
2016/09/22 (Thu)


雨上がりの朝。

この秋初めての金木犀の香り。
銀木犀かもしれない。
2016/09/21 (Wed)


夏至
中日までご無事で
2016/06/21 (Tue)


ゴールド&マネー
概念としてのお金(マネー)と、物質としての金(ゴールド)について考え始めると氣が狂いそうになる。少し整理する必要がありそうだ。

物質として価値のある金(ゴールド)と、概念としてのお金(マネー)だったら、金(gold)が上位構造だろうと思う。
そして、それよりももっと大切なのが、金の元になるエネルギーでしょうね。氣。

わたし達は大人なのだから、このあたりの区別が出来ないのはマズイと思います。

もちろん誰も教えてくれないけどね。
2016/06/12 (Sun)



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