季節の移ろいは気温で感じるわけではない。いや、気温も重要な要素ではあるけど、それが全てではない。立秋を過ぎると、風が吹く方角とか、太陽の角度とかから僅かに秋の気配が漂い始めるようになる。酷く暑いこの夏だったが、朝晩はずいぶん過ごしやすくなってきて、昨日などは1日冷房無しで過ごすことが出来た。
在宅勤務が続き、運動不足の解消の為に毎日小一時間ほど散歩をしていたのだが、暑さのピークだったこの3週間くらいはそれも控えていたので(紫外線が恐ろしいというのもある)、だいぶ体が重くなってしまった。たかが小一時間の散歩がどれほどの運動量なんだと思っていたのだが、やらなきゃやらないだけキッチリ太るんだから、まあそれなりに意味はあるんだろう。ボチボチ再開し始めているところ。
自宅から10分くらい歩くと、なかなか広い公園がある。大きな木が沢山あるので、ちょっとした森林浴気分も味わえるのだが、夏は蝉の鳴き声が本当に凄い。蝉時雨というやつだ。今日も夕方に公園まで出かけてウロウロしていたんだけど、四方八方から蝉の声を浴びているとなんだか心身が浄化されていく気がする。一匹だけ単体で鳴いている時は「うるさい!」と思ったりもするのに、不思議なものだ。
海外には、こんな風な蝉の鳴き声は存在しないという話をよく耳にする。日本映画で蝉の鳴き声が使われているシーンなどは『日本独自の夏の心象風景が表現されたサウンド』だと思われているとか、海外の人とオンラインミーティングをしている時、相手が「どこからかノイズが聞こえる」としきりに首をかしげていたが、結局それは蝉の鳴き声だったとか、そういう話。本当だろうか。「日本スゲー」を拗らせた捏造では?と、少し疑っている。
近藤聡乃さんのエッセイ漫画『ニューヨークで考え中』に17年蝉が登場する。アメリカには17年間土の中で過ごす蝉がいるそうだ。それはそれは大量発生するそうである。鳴き声についても触れられていて、どうやら日本の蝉時雨とはずいぶん様子が違うようではあるが、よくわからない。体験してみたい気もする。