この前
テレビを観ていたら
おやつ作りの番組で
懐かしいケーキ型が紹介されていた。
私がまだ幼かった頃
母がいろいろなおやつを
娘たちのために
手作りしてくれていて
そんな中で
この型で作ったおやつがあった。
その当時は
オーブンなどというような
洒落たものはなくて
ガスコンロにかけて焼くケーキ(もどき)だった。
母のレシピには、
ベーキングパウダーというより
「ふくらし粉」と母が呼んでいた
少し苦い味のするその型で焼いたケーキがあった。
ぎっしり身が詰まった
あのケーキを懐かしく思い出した。
そういう母の愛情がたくさん詰まった
我が家の慎ましい生活。
父の、一介の公務員給料で
やりくりしていた母の姿が色々思い出されてくる。
手作りおやつもそうだが、
ミシンを踏んでいた内職する母。
近くの製袋工場へ自転車で通う母。
そうやってやりくりをして
私が小学5年生の時に
我が家を新築した。
それまで住んでいた家は、
父が結婚し、長姉が生まれてから
祖父が用意してくれた平屋の家。
昔の農家の家だったので、
台所には井戸があった。
新築した家の台所は
システムキッチンになり、
長姉が熱望していた
ガスオーブンレンジが設置された。
今、その家は解体されてしまった。
あのケーキ焼き器は どうなっただろう。
そういえば
ずっと
ケーキやクッキーを焼くような
気持ちのゆとりのない生活が続いている私。
いつかまたクッキーを焼くような生活を
取り戻したい。