自分の体型には昔からずっとコンプレックスを持っている。コンプレックスくらい誰でも持っていると思うが、それは各自どうぞ大事に持っていてくださいとしか言えないので悪しからず。
胸板厚子の首短族なのだ。胴体も短いのできっと脊椎の一つ一つが短いのだと思う。(キリンだって首の骨は7つだって言うしね。)さらに年齢とともに骨と骨の間の隙間が重力で狭まってくるから、ますます上半身寸詰まり状態が加速してきてどうにもならん。水泳選手とかプロレスラーみたいな力強さを感じるが、実際には体力も無いし力も強くない。完全なる見掛け倒しである。
ちなみに胸板の厚みについては(カップのサイズではなくあくまで胸板です)長年喘息の吸入薬を使用している影響もあるのかなとは思っているがどうだろうか。
華奢な女への憧れをいつになったら捨てられるのだろう。早く楽になりたい。
本題。上記の通りの体型なのでシャツやブラウスがキレイに着用出来ないのが大問題で、首が短いから普通のシャツなら第二ボタンどころか第三ボタンくらいまでがっぴろげないと見た目もスッキリしないしボタンとボタンの間に隙間が開いてみっともない。開襟シャツもかなり深いVじゃないとあまり意味が無い。
だからと言って胸板に合わせてサイズを選ぶと今度は肩がキマらない。ドロップショルダーの服がずっと流行っているような気がするけど、これは自分には似合わないので肩幅はジャストサイズが良いのだ。洋服においては肩幅の1cmの違いって本当に影響が大きいですよな。
服の事で悩むのが心底イヤになって、行き着いたのがオーダーメイド。もう自分サイズで作ってもらうしか無いじゃんね。
しかし貧乏OLの自分がそんなにホイホイとオーダー出来るわけもなく、お手頃価格で作ってくれるところは無いものかと探したら、谷中に気軽に注文出来そうなお店を見つけてしまった。シャツやブラウスのオーダーと言うとスーツ屋さんとかがやっているイメージがあるけど、そこはもっとカジュアルなデザインで作ってくれるのだ。いそいそと赴いて、生地とパターンを指定して採寸して1枚注文した。これはまだ完成していない。1ヶ月くらいかかるようで、多分そろそろ出来るのかなーという感じで、(気持ちとしてだけは)首を長くして待っているところ。Vネックのリボンタイのかぶりのブラウスです。
ブラウスをオーダーしてからというものずっと考えているのだけど、人の体型なんて千差万別なのだから3cm刻みの既製品で自分にピッタリなんてそもそも無理なんだし、そうかと言って一般的な日本人には洋服を自分で作る技術もオーダーメイドする発想も余裕も無いから、オーバーサイズ気味だったりリラックスした感じのデザインが流行るんだよね。流行るというか、もはやそれがスタンダードなのかな。ブラウスやスカートくらいは自分で作れるようにしておいた方が人生楽しそうだな。
で、さらに本題。実は昨日ひょんな事から自宅の近所にスーツのオーダーメイドのお店があって、そこが知る人ぞ知るモッズスーツの聖地でなんとミッシェル・ガン・エレファントも顧客なのだ(だった?)と知ってしまった。ええーと思って場所を確認したらすぐに分かった。「ああ、あそこ!?あれってちゃんとお店だったんだ‥」みたいな感じのところ。マジかー。
色々調べたらまあ評判の良いこと。わたしはスーツは着ないけど、格好良いジャケットは欲しいと思っていて、HPを確認したらジャケットのみのオーダーもOKとのことだったので鼻息がフガフガ荒くなってしまった。
わたしにはやけにフットワークが軽い一面があるので、早速今日行って来ちゃいましたよ。いや、実は店の前まで行って「これが‥店‥?な の
か‥?」と及び腰になってしまって、くるりと引き返そうとしたのだけど、その時にちょうど目の前を通った車のナンバーが313でね。上の小さいナンバーも313でしてね。313ってのは自分の誕生日なのでなんとなく後押しされた気になって思い切って入店。じゃじゃーん。
いやメチャクチャ緊張しました。「いらっしゃいませー(おじぎ)」みたいな感じの店じゃ無いんですよ。
「あのぉー。えっとぉー。ここってジャケットとか‥作ってくれるんですよね‥?」とか声を掛けてみると、どんなのを作りたいのかと訊かれたので、
「えーっとえーっと‥ちょっとよくわかりません。仕事とかで着るわけじゃなくて‥。あのー普段から着るような‥。寒い時に羽織れる‥。何か‥よくわからないんですけど‥。えーっと‥格好良いジャケットが欲しいです‥。それであのー、下はいらないです‥」
我ながら馬鹿なのか?馬鹿なんだな?
なんだかんだと見本を見せてくれながらヒアリングをされて1つボタンの短めの丈のジャケットに落ち着きました。寸法はサンプルのジャケットを着て、そこから足し算引き算してましたね。「自分は数字でわかるけどお客様は着ないとわかりませんからね」とか言っていらしたな。
もう少し寒くなれば薄手のニットくらいは下に着たいし、とにかく胸板付近が窮屈になるのが嫌だとお話して、そうかと言ってあんまり余裕がありすぎても不格好になるし‥とか色々話しました。
もちろん生地も選ぶのだけど、イタリア製のとっても素敵なウールの生地を見せてくれて目がハートになってしまった。黒なんだけど、なんとも言えずしっとりとした光沢が上品。こっくりしたキャメル色とかも良いなと思ったんだけど、とにかくその黒が素敵で。でも高い。素敵なだけあってお高い。49,500円(税込)。貧乏OLが悩まずにお支払い出来る金額ではない。金額ではないのだが‥。「ち、ちなみに3万円台で作るとなるとどんな生地がありますか?」と訊いて、色々見せてもらって、どの生地も素敵ではあるのだけど、その黒を見てしまった後ではハートに響いて来ないわけ。ここで1万円をケチっても仕方ないので、エイヤ!と素敵黒に決めました。表の生地に合わせて裏地とボタンも選んですごく楽しかった。
女性物のジャケットってポケットが飾り物だったりする事も多いんだけど、もちろんそんな事は無いし内ポケットもちゃんとある!嬉しい!
11月15日に取りに行けるそうで、その時にまた微調整すると言ってたな。
なんて‥なんて豊かな事をしてしまったのだろう。ジャケットなんて15,000円くらい出せばそれなりの物が買えるだろうし、ファストファッション系ならもっとお手頃価格で売ってるのに。わざわざそんな‥。わたしって素敵だな!
先日のコートと合わせて20年は現役で頑張ってもらう気満々なんだけど、毎年毎年毎年毎年今くらいの季節の変わり目になると良い感じの素敵な羽織ものが無くて困っていたから、それが解消されるとなるとそれだけで気持ちが軽くなるな。ウールのジャケットなら10月〜12月くらいまでは活躍するよね。防寒機能としては、早春も活躍はしてくれるだろうけど‥、それはそれでまた違う感じの生地で作りたくなっちゃうな。うふふ。うふうふ。
まあ、当分はモヤシ生活覚悟で。
ちなみにお店の様子はこんな感じで、実際はもっとカオスです。
https://youtu.be/Afr4Qw9YVxU