うちは畑で採った
野菜を置いておく
貯蔵庫があります
葉物などは
その日に
収穫しますが
根菜類は
一気に収穫して
その貯蔵庫に
置いておくのです
その貯蔵庫には
いつもネズミ捕りが
仕掛けてありました
ネズミが
じゃが芋や大根など
あらゆるものを
食べちゃうからです
私は昔から
このネズミ捕りが
大嫌いでした
何故なら
お父さんは
ネズミがかかると
そのネズミを
殺しちゃうからです
野菜を
食べちゃうから
仕方ないんだよ
と言われても
私はどうしても
それが可哀想で
嫌でした
今朝
貯蔵庫が
騒がしいなと
思ったら
2匹のネズミが
ネズミ捕りに
かかってしまって
いました
ああまた
かかっちゃった
と思いながらも
その時は
配達の時間が
迫っていたので
とりあえず
配達に行きました
配達を終えて
帰ってきたら
もうネズミは
いませんでした
そしてネズミ捕りが
洗ってあったんです
ああ、もう
お父さん
殺しちゃったんだ
そう思いながら
父に聞きました
『ネズミ
かかってたよね』
すると
『ああ、かかってた』
と言われました
せめて
埋めてあげようと思い
『殺したネズミ
どこにいる?』
と聞くと
少しだまったあと
『いや、さっき
あそこの森に
放してきた』
と言ったんです
私はびっくりして
聞き返しました
『ネズミを?!
逃してくれたの?!』
父は少し
照れくさそうに
『たぶん親子
だったからな』
『あそこの森なら
生きていけるだろ』
わたしは嬉しくて
ただただ嬉しくて
『お父さん
ありがとうね
倉庫、片付けるね』
そう言って
めっちゃ
掃除しました
私はね
農家さんが
野菜を育てるために
虫を駆除したり
ネズミや狸に
罠をかけるのは
ある程度仕方ないと
思ってる
私たちもそれで
生きているから
でもね
彼らも
生きてるんだよって
いつも思ってる
野菜を食べる
【悪い害虫】
なんかじゃない
畑を荒らす
【悪い動物】たち
なわけじゃない
彼らも
生きていく為に
食べている
だからね
それだけは
分かっていてほしい
彼らも私たちと同じ
必死に生きてるの
彼らも私たちと同じ
この星に生きてるの