【2023年2月25日のラヂオ】
(928回目)
三宅:2023年2月25日(土)22時30分を回りました。
■ラジオ・ネーム:はるゆず
先日のラジオで、健くんがアールブリュットに興味がある、とおっしゃっていましたね。とても嬉しかったです!小学生の2人の娘が絵を習っているのですが、下の娘は障害があり、施設でアールブリュットをやらせてもらっています。展覧会で娘やみなさんの作品をみると、枠にとらわれず自由に表現していて、心に響くものがあるのです。アールブリュットという言葉も、私は娘が障害を持つまで聞いたことがなかったので、健くんの口から聞けて嬉しかったし、健くんが発信することでリスナーさんにも広まっていくのだと思います。たくさんの人に知ってもらえること、嬉しいです。ちなみに上の娘は美大卒のキレイなお姉さんに、絵を習っています!笑たくさん褒めてくれるそうですよ!
三宅:あー、いいねぇ。俺も習いたい。キレイなお姉さんがめちゃくちゃ褒めてくれたら頑張れると思わない?これって、一見、男が言うと「動機が不純!!」って言われそうだけど、女性だって、イケメンのインストラクターがいるからジムに通える!!みたいな人も絶対にいると思うよ。そう思わない???
とくむー(構成作家):小学生のお子さんなので褒められるっていうのは良いですよね。
三宅:良いよねぇ。自分の発想にないものを生み出すっていうのを見れるのは面白いと思うんだよね。このラジオでも紹介したジャン・デュビュッフェさんも、アールブリュットに“魅せられた”というわけなんでしょうね。絵を始める??
とくむー:小さい頃におじいちゃんに美術館に連れて行ってもらったりしてたじゃないですか。絵を習うとかはなかったんですか?
三宅:小学生ぐらいの時に、ちょっとだけやってたことがあるけど、長続きしなかったかな。
とくむー:水彩画みたいなやつですか?
三宅:そこはね、いろんな、、、絵も描くんだけど、立体物も作って、覚えてるのは、発砲スチロールを削って、鷲っていうか、、、鷹ってうか、、、イーグルを作ったのを覚えてるなぁ。そういうことをやる教室だったのよ。楽しかったよ。夏休みの宿題が楽しみだったもん。ドリルは嫌だよ。図画工作は、、、、粘土で車を作ったりさ、色を塗って、ニスを塗ってさ。
〜♪ MUSIC 〜
三宅健「SUNSHINE」
三宅:去年開催した三宅健の初のソロコンサート「Ken Miyake NEWWW Live Tour 2022」のDVD&Blu-rayの発売が決定いたしました。4月12日に発売となります。こちら皆さん、是非ともチェックしてみてください。よろしくお願いします。2月27日(月)23:15〜「激レアさんを連れてきた。」(テレビ朝日系)にも出演致します。これ凄く面白かったです。是非とも観てもらいたいですね。レア回ですよ。こんな漫画みたいな話があるんだなと。僕は感動しましたね。
本日は「三宅健のラヂオ」と「東京新聞」の月イチ・コラボ企画=【三宅健とめぐるアート。】をお送りいたします。今回は『東京都現代美術館』所蔵、鈴木昭男 道草のすすめー「点音(おとだて)」and “no zo mi”をお届けします。お手元に2月19日号の東京新聞がある方は紙面を開いていただいて、そうでない方は、お耳をかたむけていただければ、幸いです。
※記事の内容は下記の東京新聞の「Tokyo Web」でもお読みいただけます。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/232024?rct=miyaⒸ鈴木 昭男 《道草のすすめ -「点 音(おとだて)」and “no zo mi”》2018-19
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〈音声ガイド風 BGM♪〉
何事にもスピード感が求められる時代。信じられないほど便利になった、といえる一方で自分の、限られた時間を、一体何に、費やすのか、見失ってしまう危うさもあります。
サウンド・アーティストのパイオニアとして、世界的評価も高い、鈴木昭男。《道草のすすめ「点音」and “no zo mi”》。この作品は、「耳を澄まして、その場に佇む。」という行為に私たちをいざなってくれます。
あてもないのに楽しくて、時間を忘れた「幼いころの記憶」を呼び覚ます、そんな作品でもあります。耳と足の形を合わせたポイントマークは、遊び心を宿しています。そこに立った人に、自由な音符を見せてくれるのです。
あの頃は、持て余すほどあったはずの「時間」なのに、いつの間にか、置き去りになってしまった「心の余裕」。
そこに立って、耳を澄ますと、「道草は僕の人生そのものなんですよ。」作者のおだやかな声まで、聴こえてきそうに思えます。
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三宅:では、東京都現代美術館の学芸員、鎮西芳美(ちんぜい・よしみ)さんと共に、「鈴木昭男-道草のすすめ-「点音(おとだて)」and “no zo mi”」を体感した模様をお聞きください。
三宅:あ、聞こえてきた。これは幻聴ですか??(笑)
鎮西さん:いえ(笑)。ちょっと、ホワ〜ンみたいな感じも聞こえたりするんですけど、外なので、他の音も混じるんですよね。美術館がリニューアルオープンした時に、どちらかというと美術館は、展示室の中に入って、目で見る作品が多いんですけど、そうではなくて、こちらの作品は「聴くこと」に意識を向けるような効果がある作品ということで入っているんです。エコーポイントと呼んでいるんですけど、この耳の形をしている所に立っていただいて、風景を見ながら音を感じ取っていただくっていうものなですね。ここと、エントランスも同じように音が鳴るようになっているんですけど、それは特別で、鈴木昭男さんが、自分で作った楽器を演奏している音が構成されているんです。
三宅:室内の方がもっと分かりますか?
鎮西さん:分かります。
三宅:では、そちらに行ってみましょか。
※移動中、鳥の声が聞こえる
鎮西さん:今聞こえてる鳥の声は室内で聞こえてる声です。このカラスも。エコーポイントをどこに置くかっていうのは、全部作家さんが直接来て、考えた場所で、音も、隣の公演とか、近くの深川の町を歩いて、全部採取した音を編集して流れています。
三宅:へー。じゃあ、外の音をこの室内で流しているんですね。カラスが鳴くだけで、夕方な感じが(笑)。もしくは、朝。面白い。館内で聞こえると面白いですね。
鎮西さん:音に敏感になりますよね。
三宅:もっと混雑してると聞こえないですよね。
鎮西さん:そうなんです。ワーワーしてるとダメなんですけど、でも、あるときにフッと入ってきたりとか、逆にそういう時に、、、、マップを配っているので、エコーポイントに立って、道くさをしてみようって感じなんですよね。道くさをすると、普段では気が付かないことに気が付いたりとか、そういう時間を過ごしたいということですね。建物にもいろんなポイントだったり、個性があるんですけど、風景と見合う場所にエコーポイントが置かれていて、それを観ながら耳を澄ますっていうのも1つの面白さになっているんですよね。
三宅:なるほど。エコーポイントに、その人が乗ることで、耳で聞いて集中できるってことなんですね。
鎮西さん:どっちの向きかってことも、鈴木昭男さんの感覚で決めているので、しばらくたたずむと意外な発見があるので、面白いですね。室内と外と。地下の池のところですとか、いくつかポイントが。全部で11ぐらいのポイントになるんです。結構、気が付かなかったりもするんですよね。普通の美術作品だと、大きさや高さもあって、目を引くものなんですけど、鈴木昭男さんの作品はそうではなくて、ちょっと不思議な、、、丸い形のものが床に置いてるような形状をしているので、地図を片手に歩くぐらいじゃないと気付かないものだと思います。
三宅:実際に観ても良いですか。面白い!!このプレートが、耳の形をしているけど、、、足跡の形でもあるんですね。
鎮西さん:そうなんです、ちょうど、その足跡のところに乗っていただいて、その向きを向いて、静かに立っていただくっていう作品になるんですけど。
三宅:ちゃんと進行方向が足跡になってるんで、位置が決まってるんですね。
鎮西さん:すべてのエコーポイントが、建物や、周りの環境からの響きを聞き取るポイントということで、どういう向きで立ったら良いかっていうのを、全部ここの場所に来て決めてもらってるっていう。
三宅:へー、じゃあ、鈴木昭男さんがこの東京都現代美術館にたたずみ、ご自身でこの環境の中で建物と向きあったり、自然と向きあったりしながら、エコーポイントを決めてらっしゃるということなんですね。本当だ!!全部1つ1つ違いますね。こっちは、建物側じゃなくて、道路側に進行方向が向いてて、あぁ、面白いですね、そうすると、、、こう、、、、今、外に向いてるんで、道路を通ってる車の喧騒だとか、鳥のさえずりが聞こえてきたりとか、向く進行方向で全く変わってきますね。
鎮西さん:同時に見えるものも一緒に体験していただくというか、季節によっては匂いですとか、風ですとか、そういったものも感じていただけると思うんですよね。
三宅:五感を研ぎ澄まして感じるアートということですね。
鎮西さん:そうです、そうです。美術館は来て、作品を観るってことに特化しがちなんですけど、感覚を開くってことの良さといいますか、、、
三宅:単純に今思ったのは、美術館を1日楽しむんだと思ったら、ずーといろんなアーティストの作品を観てると、対面して向き合ってると、結構エネルギーを使うじゃないですか。たとえば、バスキアの後に、リヒターを観るって結構ヘビーじゃないですか。その箸休めとして、屋外展示物のこの作品に自分がたたずんで、食べ物を食べた後に、お水で口を清めるように、ここに立つことで、またフラットに戻るというか。自分が立ってみてそういう感じがしました。逆にいうと、慌ただしく美術館に来て、作品に向かうんじゃなくて、先に、この作品に、触れて、心を整えてから、美術館の中に入っていろんなアーティストの作品を楽しむって楽しみ方も出来るんじゃなかと思いました。
鎮西さん:いいですね!!おすすめポイントとして、私達もそれを使いたいですね(笑)。
三宅:そうすると五感を研ぎ澄ますことによって、なんとなく美術館に入るよりも、作品の前に対峙した時に見えて来るものだとか、感じるものが変わるんじゃないかなってことを、自分自身が、今、ここに立ってみて思いましたね。みんなどうしても、観ることに特化することが鑑賞するってことだと思いがちだけど、もっとアートの楽しみ方を鈴木さんが広げてくれるような感じがしますね。
鎮西さん:そういっていただけると凄く嬉しいです。
三宅:この美術館に鈴木昭男さんの作品が展示されてる意味が凄く深くあるなと思いました。
鎮西さん:良かったです!!そして、最後のポイントがあそこになるんですが、、、、
三宅:なんであれだけ段がないんだろう(笑)。
鎮西さん:これはエントランスに置いてあるものの流れなので、、、
三宅:他は全部四角い正方形の石段になってて、その上にエコーポイントが刻印されているような形でありますけど、この一番最終ポイントは丸い円盤のような形のものにエコポイントが刻印されているみたいな形ですね。
鎮西さん:ここはですね、前の壁がポイントになっていまして、鈴木昭男さんがニューヨークとかパリなどでパフォーマンスをしているんですけど、そうすると...