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LIFESTYLE AND CULTURE
三宅健がアイドルにこだわる理由──「アイドル・三宅健は人生をかけたコンセプト」 @GQJAPAN 2024年7月12日
6月5日にニューアルバム「THE iDOL」をリリースした三宅健。グループの解散後、自身のアイドルとしての活動に悩んだという三宅がたどり着いた“アイドル論”とは?
By SYO
グループの解散後、自身の旅立ちと新たな道の模索 悲しいほどにidol──これは、三宅健が2024年1月にリリースした楽曲「iDOLING」の一節だ。三宅とMicro(Def Tech)が小泉今日子の名曲「なんてったってアイドル」にインスパイアされ、2010年に発表した「悲しいほどにア・イ・ド・ル」の続編となる。あれから14年──三宅を取り巻く環境は目まぐるしく変わった。グループの解散、自身の旅立ちと新たな道の模索、そして己が信じる「アイドル」とは何か。その再定義ともいえるのが「iDOLING」であり、同曲を軸として制作されたニューアルバム「THE iDOL」(6月5日発売)だ。それは、デビュー30周年を迎えた三宅健が、いま改めてこの言葉に、その存在に向き合うということ。期した覚悟と旅路が、この作品に収められている。
「アイドルとは何なのか。その問いを考えるために、辞書で改めて『アイドル』という意味を引いたら『偶像』『幻想』と書かれていました。僕はその言葉を、何にでもなれる存在と捉えました。そこで、自分をカテゴライズするのであればアーティストや表現者ではなく、アイドルという表記だと改めて定めました。アイドルが持つ潜在的な可能性をもっと見出し、追求したいという想いが1人で活動するにあたって生まれました」
言いよどむことなく、まっすぐに言葉を伝えてくる三宅。その確固たる想いは潔く、心地よく、清廉な気概を感じさせる。彼は敬愛する美術家・河原温の名前を挙げながら、話を続けた。
「河原温さんは『Todayシリーズ』という、制作した当日の日付のみをキャンバスに描き、今日のうちに完成させる、できなかった場合は破棄する、というコンセプトで作品を50年間に亘り作り続けた、日本を代表するコンセプチュアル・アーティストです。自分が今後の活動をどうしようか考えた際、彼のことがふっと頭をよぎりました。自身をアイドル・三宅健という“作品”の作家と捉えるならば、この先どこまで作り続けられるかは、人生をかけたコンセプチュアル作品になりうるのではないかと。グループ活動を終えた当初、もうアイドル活動をしないという選択肢もありましたが、そうした想いで“続けていこう”と決めました。そして続けていくからには、アイドルの概念を長期的にアップデートしたいと考えています」
可能性。そしてアップデート。開拓者としての心意気を纏った言葉を操りながら、インタビュー中に三宅は何度か「アイドル文化を創り上げ広げてくださった先輩方の恩恵を受けて、いまの自分が存在している」と繰り返した。彼は決して、自身を“一人(solo)”ではあれど、“独り(alone)”とは考えていない。自己完結的な視野ではなく「自分が“アイドル×何か”を提示していくことで、後進のアイドルたちに少しでも明るい未来を作れたら」と全体を見据えている。
「昭和・平成・令和と受け継がれてきたアイドル文化は、なくならないものでもあると思います。にもかかわらず、どこか軽んじられていて、短期的に消費されるイメージは未だに強くありますよね。僕自身も、“アイドルを続ける”と決意した一方、取り巻く環境は大きく変わっているなか、僕だけがアイドルであり続けてることは同時に、周りがどんどん大人になっていくのに、自分だけが取り残されてしまったような感覚も生みました。ファンの方々は三宅健そのものを愛してくれているのか、ラベリングされた三宅健が好きなのかわからなくなってしまった時期も経験しました。ただ僕は、アイドルを応援するエネルギーの凄さも重々承知しています。となれば、その原動力や求心力を使って様々なきっかけづくりを行い、ボーダーを越えていくのがアイドルたちの役割なのではないかといまは考えています」
その実践といえるのが、三宅自らリサーチとオファーを行った「THE iDOL」参加アーティストたちの人選だ。「iDOLING」を手掛けたMicroや「Ready To Dance」を提供したSIRUPなど、「新しい人たちとコラボレーションすることで、自分のまだ見ぬ一面を引き出してもらえるのではないか」と次世代の才能に積極的に声をかけた。その一例が、「BOY」を制作したiori takamura。三宅が行きつけのカフェでDJの知人と会話していた際に存在を知り、音楽性にほれ込んで自らコンタクトを取ったのだという。まさにシンデレラストーリーのような話だが、三宅本人は「引き上げる/機会を与える」といった上下関係もはらんだ表現を良しとしない。そこにあるのは、ただただ純粋な「自分が思う“本当にいいもの”を、ファンの人たちにもシェアしたい」という気持ちだからだ。「とても贅沢なプレイリストを作っている感覚」という三宅自身がアーティストとリスナーをつなぐ“ハブ”となり、その先に「アイドル」の固定観念が再構築され、無限に拡張していく未来が拓けるのではないか――。そうした意味では、三宅健は誰も取りこぼさず、自分/クリエイター/ファンの全員を巻き込みながら共に歩むスタイルを標榜している。
「“踊る”と言っても、バッキバキに振りが決まったダンスという意味ではなく、リズムに身を委ねること、グルーヴを感じること――それは既に踊っている状態だと僕は思います。ライブ会場に来てくださる皆さんが自然と身体を揺らしたくなるような音楽を目指しました」
さあ、踊る準備はできてる? 「Ready To Dance」の中で、三宅は「塗り替えてこう これから何度でも」「これからも声合わせて歌おう 『今』を記して君と」と呼びかける。差し出された手を取り、共に揺らしていこうではないか。凝り固まった心を、億劫がる身体を、未知なる喜びが待つ“この先”に向けて。
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